
の4枚使いで
バックの仕掛け。
しかし、河は字牌とが並べられていてタンヤオの仕掛けのようにも見えるから、
が鳴けることも期待できそうではあるし、
のカベで
も同様である。

瀬戸はその後にをツモって打
。目一杯のイーシャンテンに構えた。
そして、

瀬戸にいよいよテンパイが入った。
いまだは山に2枚。瀬戸の目に
が現れたその瞬間にファイナル行きの道が開ける。
その時は意外に早く訪れた。


瀬戸の右手に踊る。
プロ歴2年目、二十歳の瀬戸麻衣がファイナルへの扉をこじ開けた瞬間だった。
対局後のインタビューで、瀬戸はこの仕掛けについてこう語った。

「一回親に放銃しても、自分にはまだ条件が残る。だからなんとかなるだろうと思って。」
この言葉。
私はどこかで聞いた覚えがあった。

今日の解説を務めていた元最強位、瀬戸熊直樹の言葉だ。
「勝負できる時にそれを先送りしないこと。たとえ放銃してもやり直せるならそれでいい。ひと勝負するんだ。」
瀬戸熊直樹の背中を追いかける瀬戸麻衣。
彼の勝負哲学を、彼女はしっかりと胸に抱いてこの場にやってきた。
オーラスの仕掛けがその証左であろう。
瀬戸熊直樹からの労いにより涙が抑えきれなくなった瀬戸麻衣。
瀬戸から瀬戸にバトンは渡された。#麻雀最強戦 pic.twitter.com/QUzcv2jYMN— 小山剛志 (@_higetter_) September 27, 2025
憧れの人を目の前に、涙が抑えきれなかった瀬戸。
でも、涙を流すのはまだ早い。
最高の舞台で瀬戸熊直樹と戦うその日まで、その涙は取っておいたらどうだろうか。
きっと、その日はすぐにやってくるはずだ。


北海道在住のアマチュア雀士。 7歳で父から麻雀を習い、土田浩翔プロ、喜多清貴プロを師と仰ぐ。 2020年北海道最強位。