
しかし東3局1本場ではドラドラを丁寧にタンヤオで仕上げ、ドラポン後に下石からの大きな直撃を果たす。
これで松本に光が差し込むが……

次局の下石の手順がお見事。暗刻でカン
の聴牌をノータイムで外す。
あえて聴牌を取らないのは、ドラを受けるための
を残すが一つ。
もう一つは先にを切っておくことで、
を引いた時の
の出和了り率を上げるためであろう。宣言牌
と先に切られている
では
の和了りやすさが天地だ。

構想通りのプランでドラを引き入れて、難なくツモ。
松本に二の矢を放たせない。

下石だけでなく瑞原も立ちはだかる。この手でを二枚ともスルーした。
鳴けば和了りが見込めそうだが、少し早そうな親の高宮の捨て牌への受け。そして自身が門前の三色ドラの決め手に育つリターンも考えてのことだろう。
全員が一発を狙っていく中、決めたのは……

松本だった!マンガンの加点で抜けていくと……
最後の試練は【南3局1本場】。

ここまで受けて受けて耐えてきた松本に、親の仕掛けと二軒リーチ。
高宮の条件を考えると、この巡目で安手であれば組み替えることも選択肢に出てきそうなので多少なりとも打点がありそう。一発目は高宮の現物を選択して形を残した。

そして次巡、ドラのを引いて、力強く牌を横に置いた!

高宮から捉えたのはリーチドラ裏の抜け出す和了!

この和了りで全員に条件を突きつけ、この半荘トップを獲得した!

インタビューで、松本はこう残した。
「チーム戦で、好調な人もいれば不調な人もいる。全員キツイ時も良かった時もこの7年間で経験してきたので、誰かがカバーできればそれでチームとしても上がっていくのかなと」
一戦目、チームを引っ張って来た白鳥のラスを受けてのこのリカバリートップ。
松本としてもひとしおのうれしさだったであろう。

好調・不調の螺旋の中で残り100戦。これまでのレギュラーシーズンの試合数を鑑みれば、もはやここからが始まりと言っても差し支えないだろう。

日本プロ麻雀連盟所属・35期後期生。麻雀と着物と民俗学が大好きなプロ雀士。