「好調」「不調」その波に飲み込まれてなお… 松本吉弘、意地のトップ【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/13 第2試合】担当記者 渡邉浩史郎

「好調」「不調」

その波に飲み込まれてなお…

松本吉弘意地のトップ

文・渡邉浩史郎【月曜担当ライター】2025年10月13日

麻雀における好調と不調とは、いったい何なのだろうか。

例えば有名なのは瑞原のレギュラーシーズンであろう。常に上位争いに名乗りを上げている一方で、ファイナル・セミファイナルは苦しい戦いをしている印象だ。

松本は好調な年も多々ある一方で、去年のレギュラーシーズンは地獄を味わった。

勝っている時ほど選択の幅が生まれて勝ちやすく、負けている時ほど精神的な追い込まれ方も含めて負けやすくなるというのは事実としてある。じゃあ最初に勝っておくためにはどうすれば?鶏が先か、卵が先かみたいな堂々巡りだ。

ある程度は運の部分も大きく、それを覆すには歴史を積み重ねていくしかない。

8年でさえ、まだまだ短いくらいであろう。

第1試合

東家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部
南家:瑞原明奈U-NEXT Pirates
西家:下石戟BEAST X
北家:松本吉弘渋谷ABEMAS

 

【東1局】

瑞原が確定三色でリーチに踏み切る。もちろん一手変わればチャンタ系だが、河を見ると待ちごろの字牌もなく、19牌では三色が崩れる恐れもある。

このあたりのリーチ判断の鋭さは間違いなく瑞原が勝ち切れている要因であろう。

全員から出そうなこの待ちを軽々とツモって裏1の跳満

レギュラーシーズンと言えば瑞原のこの和了り。といった具合で、いきなり半荘の趨勢が決まったかのように思われた。

 

【東2局】

反対に去年から苦しいムードを引きずっているように見えてしまうのが松本。

第1打から【2ピン】を切って、三色固定。ドラ表示牌の【3ピン】が厳しいのは松本とて明々白々だが、【中】を切って目一杯にはしなかった。

昨年からずっと苦しかった松本。

同様の地獄を知っているが故に、解説の萩原の選手目線の言葉が刺さる。

「誰かにちゃんと自分の麻雀を見ていてほしい。放銃したり失点につながった局ばかり取り上げられてしまうが、結果が出なくてもよかった局がいっぱいある。ちゃんと一局でも勝ち負けじゃない部分を評価してあげてほしい。」

ソウズが伸びてドラを引き、ここで三色を見切って一気通貫一本。

カン【3ピン】が鳴けて、一気通貫の聴牌に。

ここに飛んでくる親の瑞原からのリーチ。【5ピン】【6ピン】の両面落としっぽく見えるが、赤があるのに【5ピン】を先に切っていることを考えると、こういった【8ピン】と何かのシャンポンも本線だろう。

タンピンドラドラのマンガンを黙テンにしていた下石が【8ピン】を持ってきて、これがスライドできる形で放銃回避となる。

そして松本。先ほど言った【5ピン】【6ピン】の切り順のおかしさから、一見本命に見える【7ピン】を押していった!!

この捲り合いだって、だれが勝ってもおかしくない。なのに……

先に掴んでしまうのは松本。

当然考える。他の待ちの確率、先にシャンポンが埋まっている確率、放銃時の打点予想……

考え抜いた松本が出した結論は……

まっすぐ打ち抜く。これが瑞原に捕まるも、打点はリーチのみで済んだ。

 

「放銃したり失点につながった局ばかり取り上げられてしまうが、結果が出なくてもよかった局がいっぱいある。」

 

下石は結果にでて、松本は結果に出なかった。しかし双方ともこのリーチに対しての素晴らしい手順であったことは疑いようがないだろう。

東2局こそ松本が躱し切るが、東3局では下石の早い親マンガンでまたしても上下の差が開く。

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