その多井は、この手牌。
西家につきピンフの1翻は望めない。ここは打
として345の三色を狙う。
数巡後、首尾よく自風の
を暗刻にし、1翻確保しての、安目
ツモでテンパイ。
ドラが
で、
を切っての
–
待ちは、どちらをツモってもトップ条件を満たす。
ツモ=ツモ・
・赤はテンパネ(符ハネ)で1300・2600
ツモ=ツモ・
・赤・ドラで2000・4000
ただし出アガリは、高宮からの直撃以外では2600か5200でトップに届かない。
さてリーチか、ダマか。
多井は
を縦に置いた。その決断は、ダマテン。
多井「ついてましたね。序盤、全然手がこなくて、これどうしようと思っていて。親番でアガれて(南2局の2600オール)気持ちが楽になって、でもオーラス、難しかったです」
そして、1巡後にツモ切りリーチを敢行!
多井「これ、仲林さん、イーシャンテンだな。
持ってるなと。仲林さんからロンって言えないのがつらいなと。色んなことを考えると、じゃあリーチだなと」
仲林も、高目イーペーコーで、満貫ツモ条件によるラス回避に迫っていた。
当然の
切りリーチだった。
しかし、最後まで当たり牌を掴まされる厳しい展開。
無情にも、多井のツモ切りリーチ判断の前に、打ち討られてしまった。
さて多井のアガりは現状、リーチ・
・赤の5200点。
裏が1枚乗れば、満貫で逆転トップ。
多井「めちゃくちゃ気合入れて裏ドラめくりました。乗ったらトップ、乗ったらトップ、うん、と」
多井「8000!」
多井「 一番、でっかい声で言いました。生まれてこの方、一番でかい発声で8000!って言いました」
皆が少しずつ奇妙な違和感に包まれているような対局にあって、多井だけは多井のままだった。オリる手はオリる。アガれる手をアガる。当たり前のことを、当たり前に。間違えなかった。原点にして頂点。王道にして覇道。
麻雀という、不確定要素に支配されたゲームの中にあって、
多井の雀力だけが、確かだった。
いや、多井もまた、奇妙な違和感の中で闘っていた。
多井「今日ほんと凄くて。オンラインPVで僕、あんまり勝ったことなくて。高宮さんに3連勝されてて、南家の席、ダメで。11月、ダメで。こんだけダメだったら、逆に勝つんじゃないっつって」
何重苦だよ!
マイナスとマイナスを掛け合わせ見事プラスにした、ドラフト1位の最強オリジナルメンバーの、これがドヤ顔である。
そして、渋谷ABEMAS、2年10ヶ月ぶりの同日連勝=デイリーダブル達成!
常勝軍団と、それを率いるマネージャー=最速最強が、その勢いを完全に取り戻した。
仲林は、個人最下位に転落。
麻雀とは、かくも恐ろしい。
しかし、まだレギュラーシーズンは長い。
捲土重来を期す。
麻雀という、不確定要素に支配されたゲーム。
その中にある、確かなものを信じて。

京都在住の書店員。麻雀戦術本マニア。
天鳳の最高段位は九段。
X:@superflat221














