牌に「勝て」と言われた日〜
本田朋広、快勝の巻
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年12月5日
「今日はあなたの日よ。さあ、勝ちなさい。」
まるで牌にそう語りかけられているかのように、どうやってもこの日は勝てるという日が麻雀にはある。
アガリの道がいくつもあったり、どこかで失敗してもそれを自然にカバーできてしまったり…そんな強運に恵まれた経験は誰にでもあると思う。
今日の本田朋広はまさにそんな感じの勝利だった。
こう書くと、言葉尻をとって意地悪く解釈する人が「まるで運だけで勝ったみたいじゃないか!」とあり得ないクレームをふっかけてきそうだから先に書いておく。
その指摘は違う。
麻雀に対する理解が深く、チームを愛し、「私」を捨てて「公」のために打つことができるのが本田朋広の魅力だ。
チャンスが来たらそれを逃さない。それが麻雀においての腕の見せ所だ。
本田は今日の戦いにおいてその腕を見事に振るった。
まずはその場面からご紹介したい。
第1試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:本田朋広(TEAM雷電)
・その一牌、押すや押さざるや
東4局、本田の親番。ドラは
。
3巡目、本田は一手替わり456三色のイーシャンテン。
ここにドラを引き入れて打
。仕掛けて満貫の手になった。
と、そこへ、
亜樹がスッと切った
を本田はポン。
の片アガリではあるが12,000のテンパイ。
しかし、
は自身で1枚使っており、松本の手に暗刻。
このままでは成就しない。
と、ここで本田の手にやってきたのが、
。
ドラと
のシャンポンに受け変えると待ちが1枚だけ現れた。
たった1枚とはいえ、カラテンと1枚残りは雲泥の差…だったのだが、
次巡、本田は
をツモって手が止まった。
本田は見た目の枚数から
待ちを嫌気して
とドラのシャンポンに待ち替え。
しかし、
はまたしても松本に完全ブロック。
再びカラテンに逆戻りしてしまった。
せめて親権を維持したい本田には良くない展開が。
終盤、仲林がリーチ。
3巡前に
が切られており、本田としてはとうとうきたか…という感じだっただろう。
しかし、仲林の待ちも薄く残り1枚。
両者ともにアガリのないまま壁牌は少なくなっていく。














