涼しい顔の裏側 醍醐大が魅せた超頭脳合戦の底力 【麻雀最強戦2026 超頭脳合戦】観戦記【B卓】文:うめきち

黒沢はチートイツのテンパイで【5マン】、【9ソウ】という二択を迫られ、【9ソウ】を選択。

これが太への放銃となった。

太の勝ち上がりはこの瞬間ほぼ確定し、黒沢は親番も失って一気に苦しくなる。

 

南2局では、黒沢が早々とドラの【9ソウ】をポンする場面があった。

普段ほとんど鳴かない黒沢が鳴いたので、太も瑞原もおそらくチンイツドラ3クラスの大物手を想像して身構えたはずだ。でも醍醐はそんな空気などまるで気にせず、

ジュンチャン三色ドラ1という高打点すら惜しげもなく拒否して【7ピン】を切り、

リーチピンフドラ1のシンプルな手でリーチ。

ただこの【6マン】【9マン】待ち、7山!だったが、他の3人に2枚ずつ流れて流局。

 

ねっとりツモが世界を変えた

南3局、親の醍醐に対して瑞原はタンヤオ狙いの【1ピン】切りで早いアガリを目指し、醍醐の親を早く流そうとする。

醍醐の親を流せば、オーラス親番で牌を伏せることも可能だ。

太も醍醐の【4マン】【3マン】という手出しから大物手を察知し、警戒を強めていた。

誰もが醍醐を止めにかかっていたが、ついに【中】を引き入れ醍醐がテンパイ。

次巡、ねっとりツモからの

【3ソウ】ツモ!。

このねっとりツモは、試合前のインタビューで言っていたビビビっという感覚があっただろうか。醍醐はメンホン【中】ツモドラの6000は6100オールを静かに決めてみせる。その瞬間、アガリを告げた醍醐の表情がこちらだ。

焦らなくてもちゃんとチャンスは来るでしょ、そう言わんばかりのアガリだった。太は「また来たか」と思ったそうだが、その気持ちは画面のこちら側にいた私にも痛いほど伝わってきた。

涼しい顔の裏側にあったもの

でも試合後のインタビューで、私はこの醍醐の「余裕」の正体を知ることになる。南2局の【6マン】【9マン】リーチについて醍醐はこう語っている。「これがアガれなかったら今日は勝ち進めないかなと思った」。

堀があれほど落ち着いていると評した、あの表情の裏側に、本当は焦りがあったのだ。打牌にも顔にも一切出さず、それでも内心では勝ち進めないかもしれないという不安と戦っていた。この落差を知ったとき、私は正直、胸が締め付けられる思いがした。涼しい顔というのは余裕なんかじゃなくて、不安を飲み込んだ上に成立するものなんだと思う。

 

超頭脳合戦が見せたもの

瑞原は試合前のインタビューでこんなことを語っていた。「麻雀に地頭の良さは関係あると思います。でも頭のよい人が必ずしも麻雀が強いとは限らないと思う。でも頭のよい人が必ずしも高学歴とも限らないと思ってるから、高学歴の人が麻雀が強い確率は高いという関係の仕方」。私はこの言葉が、今回の試合そのものを言い当てているように思えてならない。

太の強さは、最適解を計算し尽くした上でリスクを取りにいく理論派の強さだった。対して醍醐の強さは、不安を表に出さず、ねっとりとチャンスを待ち続ける我慢の強さだった。同じ超頭脳合戦の舞台に立ちながら、頭の良さの使い方はまるで違う。これこそが超頭脳合戦という大会名にふさわしい対比だったと思う。

南4局、太がピンフのみをまとめて試合が終わった。瑞原は序盤の東1局でマンガンツモを決めたきり大きなチャンス手に恵まれず、ファイナル未経験のまま無念の敗退。黒沢もまた、南1局1本場の放銃が響き、なすすべなく敗れた。太と醍醐の勝ち上がりが決まった瞬間だった。それでも私は、涼しい顔の下で焦りを飲み込みながら勝ち切った醍醐の姿を、この日一番の人間ドラマとして胸に刻んでおきたい。

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