西原理恵子 & 山崎一夫 最悪を想定して腹をくくれ! 全部負けたらその日はオシマイ!!




さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第3回】

最悪を想定して 腹をくくれ

ぼくが西原さんに感心したのは、どんなに大金を負けても、その場で借金してまでギャンブルを続けようとはしなかったこと。
事前にたっぷりと軍資金を用意してくるか、時間がないなどで、それができなかった場合は、ギャンブルを始める前に、ぼくや末井さんからお金を借りておくんです。

「もし全部負けたら、その日はそれでオシマイ」

最悪の場合を想定して、腹をくくって勝負するんです。
ギャンブラーには、これができない人が意外と多い。
いわゆる賭場用語の「行儀の悪いヤツ」です。
誰でも負けるつもりの人はいないので、想定外の大負けを喫してしまうと、なんとしてでも取り戻したくなるんですね。

ホテルのやや広めのセミ・スィートで、チンチロリンというサイコロ博打をやった時のことです。
さんざん負けてお金がほとんど無くなった中年男性は、ポケットの中の小銭をかき集めて「これでもうひと勝負だけ、やらせてくれ」
と親(同元)頭を下げました。

ミニマム・ベット(最低の賭け金)よりもはるかに少ない金額です。
ぼくはこういうセコいギャンブラーが嫌いじゃないので、笑って見てました。
その男性は運よく盛り返しましたが、やがてふたたび持ち金が尽きたようです。

すると、今度は周りの人たちにお金を借り始めたんです。
そして、またしても一発逆転に成功し、持ち金を増やした様子でした。

ところがここから先がイケナイ。

トイレに行くふりをして、借りた金を返さずに、そのまま帰ってしまったんです。
お金は失わなかったかもしれませんが、なんか致命的なものを失ってますよね。

ギャンブルをやるなら、西原さんのように自前のリスクでやるべきです。

「き~っ、持ち金全部負けたから帰って仕事をする。今晩中に負けた分の2倍は稼いでやるわい」

逆に運よく大勝ちした時は、仲間に景気良くふるまったりします。
西原さんは、ギャンブルでかなり負けてますが、それに見合った楽しみ方は誰よりも心得ているようです。

「見合ってねーよ!」

博打金の 作り方色いろ

勝つチャンスが大きいギャンブルに、日本独自のパチンコやパチスロ、そして麻雀があります。
公営ギャンブルやカジノに比べると、ハウスの取り分が少ない場合があるのがチャンス。
ハウスの宣伝などのため、場合によっては赤字覚悟で営業することもある。
つまりプレイヤーがわの期待値が高いと。

ただ残念なことに、たとえ期待値がプラスでも、パチンコやパチスロは、自分でレートを大きくアップするのは難しい。
パチンコの場合だと、玉1個の値段や、1分間の発射数は決まっているからです。

麻雀もチャンス。技術が勝敗に大きく関与するのと、レートの設定が自由なのがメリットです。
勝てるギャンブルなら、レートは高いほうがいいんですが、そこで問題になるのが軍資金。

先に述べたように、軍資金は自前が原則。博打場で誰かに泣きつくのは、ギャンブルをやる資格も三角もありません。

「いや、今度の勝負は借金してでもやる価値がある。自分の得意分野なので勝利は堅い」

というんであれば別。もし本当ならタネ銭を作って勝負すべきでしょう。
まずは自分の貯金、金利は当然かかりません。

「貯金はない!」

という男前は、今持ってるもののなかで、金目になりそうなものを、質屋さんなどに売るのも一法。
期待してたよりも、はるかに安くてガッカリするでしょうが、ムダな買い物をしなくなるキッカケになるかもしれません。

ちょっと変わったところでは、庶民金融の元祖と言われる「無尽」で、資金を調達するギャンブルファンもいます。
たとえば毎月一万円ずつ10か月間、10人でお金を持ち寄るようにし、1回で集まった十万円を、落札した者が使えるという仕組みです。
沖縄では、今でも盛んに行われており、町の文具店で「模合帳」(もあい帳)という無尽専用ノートを売っているほどです。

ぼくのかつてのギャンブル仲間は、1回百万円集まる無尽で資金を調達してました。
もちろん、1回落札するとあとは返済だけなので、たいへんです。
それに耐えきれずに、次々と無尽に入るもいる。
こうなると、サラ金の多重債務者と同じで、あっという間にパンクします。

もし勝負での予想利益が金利を上回るなら別ですが、ちょっと難しそうですね。
実は、ギャンブルの場所代も金利のようなものなので、借金でのギャンブルは、最初から複利計算の、勝ち目の薄いギャンブルなんです。

前回に続いて、お金の神頼みで有名なのに、鎌倉の銭洗い弁天があります。
ぼくは銀玉親方だった時代に、パチンコ玉を洗いに行きました。
もちろん、たちまち大連チャンんです。
ここの霊験あらたかな(著しい)泉水でお金を洗うと、やがて百倍くらいに増えてしまうんだそうです。

実はここにも資本主義の原則が働き、五百円玉しか洗えない人と、一万円札を洗うお大尽では、レバレッジ(テコ・倍率)の差で大きくご利益が違ってくるだとか。

ご利益はごりやくと読みますが、なんだかごりえきでも良さそうですね。

百万円くらいジャブジャブ洗うと、一攫千金が期待できますが、洗ってる途中で襲われるかもしれません。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2010年7月1日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門は毎週水曜更新!!(次回は6月27日更新予定)

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