1000点コース本線だった手を、守備力もキープしつつ8000点に仕上げた小林。「ラッキーでした」と謙遜する小林の声が聞こえてきそうだが、アガれるルートの中で高打点を逃さない、小林の嗅覚の鋭さを感じる1局だった。
11月6日(火)2戦目
次の局も小林は役牌を1鳴き。
小林にとって役牌は、誰も奪えない心の翼だ。

現在ラス目の小林、自風のをポンして…

打。赤とドラが確定しているこの手。しかも供託が2本ある1本場だ。役牌は鉄ポン、いやオリハルコンポンするしかない。
…正しい用語を使いましょうという小林の声が聞こえてくるようだ。
2巡後、

ドラのを引き入れた。これはかなり満貫が期待できる手格好だ。
による1ハンに頼らなくてもよくなったので、役牌を潰しておく意味でも打
。
「ポン」

しかし、このを親のたろうがポン。

打で12000のイーシャンテンだ。こちらのほうがさらに整った勝負手だ。
数巡後、小林は、

この牌姿になった。小林の選択は…

計算中…計算中…河を見てじっくり考えたのち、

切ったのはなんと!平面で考えて、ドラを使い切るのが狙いなら打
だろう。
しかし、小林は河から2つの情報を得ていた。
1つは、を仕掛けている親のたろうが真ん中の牌からの派手な切り出しをしていて、かつ、手の中から
→
のターツ落としをしてきたことだ。かなりテンパイが近い状態、もしくはテンパイが入っているかもしれないくらい煮つまった状況。カン
が残るようなソウズの愚形待ち(
を残して
引き)を拒否したカタチだ。たろうに危ないソウズの先打ちをする狙いもあるだろう。
もう1つは、全員の河にマンズが安いことだ。しかも上家の白鳥は前巡にを手出ししている。
待ちは絶好で、かなり鳴きやすい部分だと判断したのだろう。
次巡、

白鳥が小林の狙い通りを切ってきた。
「チー」

小林はチーして、3900のテンパイを入れる。

切るのはもちろんドラの。
たろう「ポン」

(!!!???)
ものすごく驚く小林。親のたろうにドラポンが入ったのだから無理もないが、それにしてもビックリしている。

このようにドラを見せつけることで、小林への足止めも狙ったポンだったが、

小林は、このをとらえる態勢にあった。

小林、最短ルートで3900は4200と供託2本、計6200点のアガリ。

ホッとした表情。
最初に取り上げた局とは対照的に、このように「打点を下げて他の人より一足先にアガる」のも小林は非常に得意だ。
我々は全員の手牌が見えているから一見何でもないことのように映るが、判断は物凄く難しい。

このを切った場面は、
を切って満貫コースを狙いたくなる。しかし、
を切った場合には、両面二つのイーシャンテンだったたろうに先を越されていた可能性もある。12000放銃の世界線もあったかもしれない。
4人の中でのアガリ最速を達成するために、打点が下がる可能性があろうとも速度を優先したのだ。絶妙な舵取りの1局だった。
この2局に表れているように、小林のセールスポイントは、「自分が人より先にアガれるかどうか」という相対速度の判断が優れているところなのだ。速度に余裕があれば打点を狙うこともお手の物だし、反対に速度を上げるために打点を削ることも出来る。また…
11月6日(火)2戦目

南2局の親の魚谷の仕掛けに対し、