周りからも
「滝沢は終わった」
とまで言われた。
結果が出ず、逃げるように酒をあおる日々。
選ばれると思ってなかったMリーグの舞台で、最初は緊張し、そして次にこんな俺でいいのかと苦悩しながら対局していたが…すぐに順応し、才能は開花した。
滝沢はハイテイでツモってきた牌を視認するも、すぐにはアクションを起こさない。
まるでこれまでの半生を辿り、そしてこの瞬間を楽しんでいるかのように私は見えた。
「ツモ、4000オール」
あのバラバラでドラもなかった配牌が親マンに化けた。
この奇跡のアガリのあと、さらに滝沢は3回連続でアガった。
都合親の4連荘の大爆発である。
全てはがむしゃらに飛びついたのポン、そしてマジックとも言える打からこの連荘は始まったと言える。
破顔一笑。
滝沢はこのトップで、なんと個人成績トータルトップに躍り出た。
後がなく、悲壮な思いでこのMリーグに挑んだのか。
それともこれ以上失うものはもうない…と逆に吹っ切れたのか。
ハッキリしていることは、最高の晴れ舞台で頂点に立ち、全てを取り戻したということだ。
越後の奇跡
この通り名を、本人はあまり気に入っていないそうだが、我々は間違いなく奇跡を目の当たりにしている。
事実は小説より奇なり
Mリーグという筋書きのないドラマは、どのようなクライマックスを見せてくれるのだろうか。
(C)AbemaTV
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」