気迫VS気迫の名勝負 多井隆晴と朝倉康心 人生を賭しためくりあいの行方【熱論!Mリーグ】

タンヤオ仕掛け本線の打

ドラを切ることにはなるがピンズの選択を保留して門前リーチを狙う打

ピンズを保留しつつマンズの変化を待つドラ固定の打

このあたりか。

考えた末に出された結論は、

なんと打!!これは場況に「が悪く、が良い」という情報が出ていたからだ。

朝倉が見ていたのは、

この丸囲みの部分だ。

まず、上家の多井は一段目にと切っていて、 を中心としたピンズのブロックが予想される。は持っている可能性が高く、は持っている可能性が低い。

次に対面の黒沢は、10巡目にを手出ししてきた。ピンズの下ブロックを持っていそうなのでを持っている可能性が高い。

そして、下家の村上は。6巡目にを切っている。を持っている可能性が少し低いと考えられる。

よって、

は通常より山に薄く、は通常より山に濃い」

との読みが働くのだ。

もちろん、確実と言えるものではないが、朝倉は常にこのように「牌の濃淡」をつけて打牌選択に活かしている。この打はまさに朝倉オリジナルの一打。

実際、この瞬間は2山、はなんと山0。恐ろしい読みの精度だ。

次巡、

を引いてリーチ。アガれこそしなかったものの、超精度の読みが光った1局だった。

南2局

朝倉ラス目のまま迎えた親番。

しかし、

なんと村上が1巡目にテンパイしている。ダブリーこそしなかったものの、すでに役アリテンパイだ。朝倉絶体絶命のピンチ。

その朝倉は、

ホンイツへ向かう。間に合うか…

この局のポイントは6巡目だ。

朝倉はここで、

ではなくを切る。

次巡もをツモ切り。

この巡目に黒沢が切ったを、

朝倉はポン。

ここでようやくを放した。

これは、「できる限りマンズのホンイツに見せない」という朝倉のアガリへの工夫なのだ。

安全度の高いより、を引っ張っているということは関連牌である可能性が高い。と読むのが普通だ。ましてや、ポン出しならなおさらのこと。

逆に、を切ったあとに手からが出てきたら「周りは通りそうだ」を読まれてしまう。この河でピンズが大通しになってしまうのは出来るなら避けたい。

もちろん、このあとピンズをたくさん引いてきて正体がバレてしまうかもしれない。しかし、

このように、スッとを引いてきた場合には、「もしかしてホンイツじゃないかもしれない」と相手が考えてくれて、字牌でアガれる可能性がわずかでも上がるだろう。

とはいえ、残したの方が危険度は高い。リスクが上がるのは朝倉も承知の上での戦略だ。

南場ラス目の親番でのホンイツの手順に、自身の最善を尽くした朝倉。クールな表情の裏側には、アガリへの熱い意志が秘められていた。

赤を2枚持っていた黒沢がここでを切った。やはりこうやって対面朝倉の河をみると、手出しで朝倉のホンイツ狙いが若干ボケているように見える。

村上の1巡目テンパイをかいくぐり、朝倉会心の18000点のアガリ。これで2着に浮上。

手牌を開けられた瞬間、黒沢は唇を噛んだ。

南3局

3巡目に、イーシャンテンの朝倉。この局もチャンスだ。

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