熱論!Mリーグ【Mon】
「もしも」を
徹底的に排除する
朝倉康心の手順
文・梶谷悠介【月曜担当ライター】2019年1月21日
一半荘終わった後に
「もしもああしていれば違う結果になっていたのではないか?」
と考えることはよくある。
いくら考えたところで結果が変わるわけではないが、次の結果をより良いものとするためのそれは決して無駄なことではない。
この日のMリーグ第1試合、オーラスを観ながら私の頭に浮かんだのはこの「もしも」だった。
起家 朝倉康心 (Pirates)
南家 萩原聖人 (雷電)
西家 二階堂亜樹 (風林火山)
北家 前原雄大 (麻雀格闘俱楽部)
東2局0本場
前局に満貫を打ち込んだ前原、ここは取り返そうと先制リーチをかける。
このリーチに現物を打ちながら回っていた亜樹だったが、ついに追いついた。ピンフイーペーコードラ1と手は十分。リーチにいってもおかしくなさそうだが、亜樹の選択は打のダマテン。
亜樹の打ち方をこれまで見ている方なら予想もできただろうが、ここでダマにする理由を考えてみたい。
①はリーチの現物。は通っていなかったが、亜樹がを通すことによってもリーチ者には中筋になる。
②現状トップ目ということもあり、終盤に差し掛かった状況で危険牌を引いてしまったらオリる選択ができる。ツモは筋の切りでシャンポンのテンパイ維持もできる。
というようにリーチに対するダマテンとは、自分のアガり率を高め、放銃率を抑える役割がある。そう、通常はその役割が期待できるのである。通常は、だ。
その直後の朝倉の手牌である。
ドラの切りでカンのテンパイが取れる。そしては1巡前にリーチ者の前原が切ったばかり。迷わずテンパイを取るかと思われたが、朝倉の手が止まった。
じっと捨て牌を見る朝倉。選んだのはだった。
「守備派の亜樹がを押してきている…」
これでテンパイでないわけがないと読んだ。亜樹に対して両無筋のはかなり危険だ。は亜樹に現物でリーチにはほぼ通る牌。リーチの現物は持っていたが2人に通る牌を選んだ。
朝倉にとって、亜樹の打はリーチ宣言牌と同義である。
通常はアガり率を高めるリーチの現物待ちダマだが、打ち手が亜樹だということ、出てきたがリーチに危険な牌だということが周りの警戒心を高めてしまった。こうなるとダマでもアガりにくくなってしまう。
となればリーチを選択した方が良いのではないか?とこれを見ながら思っていた。なんせ出アガり3900のピンフ手はリーチによる点数上昇幅が大きい。
それに加えるなら、リーチの現物は朝倉が1枚切ったきりでまだ2枚場に見えていない。もし朝倉や萩原の手の内にあるのなら真っ先に切られそうなものだ。それが場に見えていないということは、山に残っているかもしれない。
ピンフツモイーペーコードラ1、それにハイテイで満貫のツモアガりとなった。が、もしもリーチをかけていたら最低でも跳満となっていただろう。それを結果論というべきかどうか。
このアガりで4万点を超えた亜樹だったが、東3局でこの点差はまだセーフティーリードと呼ぶには早すぎることは、これまでMリーグを観てきた方ならご理解いただけるだろう。
南1局0本場
東3局、東4局と朝倉が連続でアガり、親を迎えた南1局。萩原が先制リーチをかける。
無筋のを抱え引き気味に打っていた朝倉、イーシャンテンとなったこの手で打とした。
は3枚見えていたがももリーチには現物、テンパイしたときのことを考えて打としても不思議ではない。
だがを使い切る形で終盤にテンパイを組むのなら、現物のを払って部分を残しておいた方が受け入れが広くなる。が対子になったときなどをイメージするとわかりやすい。
受けを意識していた朝倉だったが、カンを引き入れテンパイ。筒子は場に安く、も通ったばかり。は通ってないが、ここは勝負のリーチと
いった。
うまくスクショできなかったが、萩原がを掴んで3900のアガり。左手首のアクセサリーが気になるところだ。
南3局0本場