百恵ちゃんが高校3年生になる頃にはマイちゃんは某フライドチキンのチェーン店に働いていた。北海道の極寒の真冬の中でのガソリンスタンド勤務で心身共にボロボロになった百恵ちゃんはガソリンスタンドを辞めてこのフライドチキンのお店で働くことにした。
このお店がかなりパンチの効いた店だった。店長が変わった人でアルバイトで雇う人間は男女関係なく顔で決めていた。顔さえ店長に気に入られればどんなに柄が悪くても採用された。結果パリピ集団の巣窟になっていた。必然的に従業員の無断遅刻、無断欠席が横行し更には接客態度も最悪のお店だった。
このチェーン店ではお客さんのふりをした調査員が抜き打ちでチェックを行っていてランキングが発表されるのだが全国に数ある店舗の中でワースト3位に堂々ランクインしていた。それくらい酷い店舗だったのである。むしろこの店を上回る店があることが驚きだったくらいだ。
トイレに行くと行って制服のまま消えた従業員もいたし、店長は本社の怖い人と気の強い高校生達の板挟みになり事あるごとに泣いていた。
百恵ちゃんはこのジャングルの様な環境で苦節一年、フライドチキンの食べ過ぎで13キロ太ってしまい志半ばで辞めた。
百恵ちゃん17歳。いまだ麻雀との出会いは、ない。
次回は12月12日(木)午前0時更新予定‼︎
【田渕家登場人物紹介】
・父 コージ:元陸上自衛隊幹部高卒ながら佐官まで登り詰めるも「髪型が奇抜すぎる」という理由で100年に1度あるかどうかの異動の内示取り消しをされた経験がある。現在は三度目の暖かな家庭を築いている。
・母 イクコ:美容師。美容室を自宅で開業するもパチンコにハマり開店休業状態を約20年続けた猛者。おそろしいほど料理が下手。ツーブロックにしたことがある。近況を知らせる連絡では年下のペンキ屋さんとお見合いをしたらしい。
・姉 タエ:無職。1度も定職に就いたことがなく家賃を滞納してはクビが回らなくなりお父さんに払ってもらいに帰ってく るお調子者。過去に大きな交通事故に遭いウン百万円もの保険金を手にするが全てホストクラブに費やした経験がある。
・エリー:田渕家の飼い犬。詐病のプロ。足をひきずったり弱ったふりをしては人間に甘やかしてもらう。動物病院で『至って健康』という診断をされるとそれまでの弱りっぷりを忘れ、凛々しい顔で帰ってくる。趣味は父の顔に噛みつくこと。オスだが思いつきでエリーと名付けられた。
・マイちゃん:母親同士が同じ美容師で仲が良く、物心がつく前から一緒にいた幼なじみ。かなりの美人だが偏差値は2くらいしかない。現在は3人の子供を産み働きながら育てているが一度も結婚したことはなく、更に子供たちは全員父親が違うという斬新なファミリーを築いている。そして最近ロシア人の子供を産んだばかり。
北海道出身。最高位戦日本プロ麻雀協会40期。座右の銘は「ビールは一日3リットルまで」。『近代麻雀』でも同コラムを連載中!