【 #神域リーグ2024 セミファイナル第1試合観戦記】#鈴木勝 が、心から勝利を願い叫んだ。 繋げるか、“奇跡のバトン” 苦難と執念のセミファイナル【文 #後藤哲冶 】

『最低でもトップ2回、2着1回』
それが、今日のグラディウスに課された、あまりにも厳しすぎるファイナル通過条件だった。

3試合目、大将を務めるルイスが、監督渋川に聞いた

「一人でも、ラスになったらどうなるんですか?」

「あ、終わりですね」

あまりにも残酷に、その事実は突きつけられた。
けれど渋川も、なにも意地悪がしたくてこんなことを言っているわけではない。しっかりと現状を把握したうえで、選手に全力で挑んで欲しいから正直に答えているに過ぎないのだ。

グラディウス最初の出場選手は、鈴木勝。
気楽に打てと言われても、自分がラスを引いた瞬間に、この後2人の試合が無為なものになってしまうと分かっていればこそ、その身に襲い掛かるプレッシャーは並大抵ではない。

「ここでトップとらんかったらいつトップとるって感じなんで」

勝が、試合前に気合を入れた。
目を閉じれば、いつだって思い出せる。

今年、苦しかったいくつもの場面。
もっと自分が上手く麻雀が打てれば。
そう悔やんで、夜遅くまで段位戦に打ち込んだ日もあった。

今日のグラディウスファイナル通過は、ほとんど奇跡に近い。
それでも、その奇跡のバトンを、自分がいきなり途絶えさせるわけにはいかない。

第一走者を任された鈴木勝が――今ゆっくりとスタートラインに立った。

セミファイナル 第1試合

東家 鈴木勝 (チームグラディウス)
南家 風見くく(チームアトラス)
西家 空星きらめ(チームゼウス)
北家 龍惺ろたん(チームヘラクレス)

先にセミファイナルのシステムを解説しておく。

レギュラーシーズンのスコアを半分にして、3試合を行う。
2試合目に戦う選手は1試合目の結果を知らず、同様に、3試合目に戦う選手は1、2試合目の試合の結果を知ることはできない。

そして3試合を終えて、最下位のチームが敗退、上位3チームがファイナルへ進出。
セミファイナルのスコアは、ファイナルには持ち越されない。

以上が概要だ。とにかく、敗退1チームを決める日だと思ってもらって、問題ない。

さあ、対局内容に入ろう。

東1局
最下位でレギュラーシーズンを終えたグラディウスは、今日全ての試合で東家に座ることが決まっている。
いきなり、簡単にはオリられない親番がやってきた。

もうひとり、絶対にトップが欲しい選手が、先制のリーチを打った。
アトラスの風見くく。
初出場した去年からここまで、一度もトップがとれていないのは、全選手の中で彼だけだ。

ずっと応援してくれるチームメイトやファンのためにも、トップが欲しい気持ちは、人一倍大きい。

「まだ全然足りないので、落ち着きます」

第1試合最初のアガリは、風見くくのリーチツモドラ1、1000、2000。
今年に入ってリーチが少しずつ実ってくれているのが、せめてもの救いだ。

「まぁ、親はまだあと一回、あるから……! 」

悔し気にそのアガリを見届けた、勝。
早くも、2回しか訪れない親番の権利が終わってしまった。
それでも、諦める理由には到底ならない。

東2局

ヘラクレスの龍惺ろたんにチートイツドラドラ赤のテンパイが入る。
ダマでも十分に打点があるため、これをダマテンに構えた。

一方、ゼウスの空星にも良い手が入っていた。【1ソウ】を引き入れてイーペーコー完成は僥倖。
【1ピン】【4ピン】と待ちも良く、当然のようにリーチに打って出る。

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