を引き入れて、暴君の名にふさわしいカンのテンパイを入れる。
手が進めば村上から打ち出されそうなだったが、上手く重なって放銃回避。
瀬戸熊の手はさらに狂暴になっていく。
最後のを引き入れ、の跳満テンパイに変化。
なんとかトップ目に立ちたい内川。
ようやくテンパイを入れるが、マンズの場況がどうにも怪しい。
いったん単騎にして様子を見る。
ここはを引いて索子の多面待ちになるまで我慢か…
と思った矢先、なんと生牌の単騎に変えてリーチ!!
内川は手替わりを待つよりも、相手の足を止めることを選んだのだ。
なんといっても親リーチ。この河ならソーズ・ピンズの無筋は切りにくい。
好形・門前重視と思われていた内川のイメージを覆す斬新な一打。
イーシャンテン以下の手なら、中途半端に反撃はできないだろう。
…そう、イーシャンテン以下の手なら、の話だ。
瀬戸熊は既にテンパイしている。
すぐさまツモ切り追っかけリーチを敢行。
「え…瀬戸熊さん、イーシャンテンじゃなかったんですか…」
これには内川も焦りを隠せない。
あの瀬戸熊の追っかけリーチ、しかもツモ切りだ。
いったいどれほどの打点なのか…受けた側は恐怖でしかない。
「親が来るなら、ここで一気に決めてやろう」
対する瀬戸熊は気合い十分。
自分の手にドラが固まっているため、親の打点もそこまで高くないと読める。
1戦目でトップを取った黒沢に続くために、ここが勝負所と見た。
内川の一発目は!スレスレで瀬戸熊の当たり牌をかわしていく。
ここまで来たら、腹を括るしかない。
焦りは心の奥に閉じ込めて、冷静な顔でツモる内川。
そして瀬戸熊が気合いを込めてツモってきた牌は…!
その牌をそっと河に置いた瞬間、内川の声が響き渡った。
(なん)ということだろうか。
打点こそ3900点と高くないが、瀬戸熊の大物手を潰してトップ目に浮上した。
オーラスも冷静にヤミテンで村上から討ち取って終局。
内川が2019年のエクストラ・ラウンドを勝利で飾り、個人成績もプラス圏に復帰。
沢崎誠が稼ぎ、
KADOKAWAサクラナイツの黄金リレーがだんだんと確立されてきた。
その中でも、今季は南場での逆転劇が多い内川。
“南場のマエストロ”として、来年もチームを牽引していくだろう。