スキーなんて大嫌い⁉︎ 後を絶たない田渕家の被害者たち…女流プロ雀士【百恵ちゃんのクズコラム】VOL.14

スキーなんて大嫌い⁉︎

後を絶たない田渕家の

被害者たち…

女流プロ雀士

【百恵ちゃんのクズコラム】

VOL.14

前回までの「百恵ちゃんのクズコラム」

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スキー

百恵ちゃんはスキーが大嫌いだ。

北海道にはスキー授業というものがある。自分の身長と同じような長さのスキー板とバカみたいに重たいスキー靴を背負い学校まで運ぶという苦行からスタートする。そして北海道のクソ寒い真冬になぜか自ら雪山に行かなければならない。
行ったら行ったでスキー靴を履くと死ぬほど歩きづらいし、スキー板はあちこちに引っかかって足はひん曲がるしで百恵ちゃんはスキーを楽しいと思ったことは人生で1秒たりともない。

小学校1、2年生のときに怪我や仮病でほとんどスキー授業を受けられなかった百恵ちゃんをお母さんが小学3年生のスキー授業の前にスキー学校に通わせてくれた。

しかし注意散漫で頭がガバガバなお母さんが申し込んだのは何故か上級者コースだった。

そんなことはつゆ知らずスキー場に到着した百恵ちゃんは微かな異変には気付いていた。他の子たちのスキー板やスキー靴が明らかに百恵ちゃんのものとは違っていた。
どれもピカピカでスキー板に関しては形すら違っていたのだが

「きっとこの子たちはお金持ちのおうちのコドモなのだろう」

くらいにしか思わなかった。

百恵ちゃんが迷い込んだ上級コースのインストラクターは大学生の若くてかわいい女の先生だった。
元気でやる気に満ち溢れていて、一生懸命で、明るくて、とても素敵な先生だったがスキーをすることに全く乗り気でない百恵ちゃんはなんだか暑苦しい人だな、と思っていた。

準備運動もそこそこに授業が始まった。
上級コースにまさかほとんど滑れないコドモが紛れているとは疑問にも思っていない先生は当然のようにリフトに乗った。先生に続いてピカピカのスキー板をはいたコドモたちもリフトに乗って雪山を登っていく。お姉ちゃんのおさがりのヴィンテージ風スキー板を履いた百恵ちゃんも見様見真似でリフトに乗った。

それが百恵ちゃんが人生で初めて一人でリフトに乗った瞬間だった。

「みなさんがどれくらい滑れるか確認したいので先生が先に中腹まで滑るので一人ずつ順番に滑ってください」

そう言って先生は雪山の真ん中あたりまで行ってしまった。そして続々とコドモたちが華麗に滑っていき、百恵ちゃんの番になった。
心の底から怖かったが腹を括って滑ることにした。見様見真似でリフトに乗れたのだからスキーだって滑れるはずだ、と思ったのだ。

スキーを滑ったことがある人ならわかると思うが滑ったことのない人間がスキーを滑ること自体は可能だ。

百恵ちゃんも滑ることができた。しかし、中腹で止まるというミッションは全くこなせなかった。止まり方を知らないのである。

直滑降という一番スピードが出る体勢で先生やコドモたちのそばを猛スピードで通過し、そのまま止まることなくスキー場のコースを区切るネットにスキーごと突き刺さった。ものすごいスピードで突き刺さった衝撃で当時流行っていたお気に入りのたれぱんだの白い帽子は遥か遠くに飛ばされ、ストックもどこかへいってしまった。

インストラクターの先生が慌てて飛んできたがネットにスキーが突き刺さり、体がねじ曲がって身動きが取れなくなっている百恵ちゃんを見て先生は泣き出してしまった。
きっとこの日のために色々と準備してきてきたのだろう。まさかこんなトラップが仕掛けられてるとは思わず大惨事になってしまって若い先生はパニックになっていた。
百恵ちゃんはなんでもいいから早く突き刺さった体をどうにかして欲しかったが、先生は使い物にならずその後なんとか別な人に救出してもらい、怪我はほとんどしていなかったがスキー学校はその日に辞めた。

あのときのインストラクターの先生には本当に悪いことをしてしまったと思う。

田渕家の被害者は後を絶たない。

ストレスフリー

百恵ちゃんは日常生活においてできるだけストレスをためないように生きてきた。本当に嫌なことはどうにかしてやらないように避けてきたし、意地の悪いことを言われるとどうしても無視してしまう。

小さい頃、田渕家はご飯を残すことを絶対に許さないタイプの家庭だった。
百恵ちゃんは好き嫌いがほとんどなく、食欲旺盛だったのでそれまでなんの問題もなかったのだが幼稚園の頃のある日の夕食、百恵ちゃんのお皿にらっきょが三粒乗せられていた。
らっきょを食べることを幼稚園児に強要するのは本当にどうかと思うのだがとにかく食べなくてはならなかった。
しかし一口噛んだ瞬間にあまりの酸っぱさに出してしまった。だがそれでもお母さんは許してはくれなかった。らっきょとの戦いは長時間に及び、半分寝かかってしまった百恵ちゃんにお母さんは

「一粒でいいから食べなさい」

と妥協案を出してきた。
それでも食べたくない百恵ちゃんが小さな頭で考え思いついた答えは一旦口の中に隠してみようというアイディアだった。らっきょを口の中に放り込み、やっとの思いで夕食から解放された。そしてほっぺたと歯の間にらっきょを隠したまま百恵ちゃんは寝た。

次の日の朝、朝食を作っているお母さんの元に行き、口の中にあるらっきょを見せた。小さい悲鳴を上げてドン引きしたお母さんは百恵ちゃんの頑なな姿勢や感化されたのかその日から絶対に食べたくないものだけは残しても許してくれるようになった。
百恵ちゃんはらっきょから

『頑張ればどうにかなる』

という教訓を得た。

百恵ちゃんは生きている虫や魚が嫌いでその中でもカエルが一番苦手なのだが百恵ちゃんの家から小学校までの通学路は田んぼと用水路に挟まれた道路だった。雨が降るとカエルが飛び出してきて車や自転車に轢かれてぐちゃぐちゃになったカエルが大量発生し、地獄絵図になるという最悪の道路だった。

百恵ちゃんはそんな道は一歩も歩きたくないので雨の日は毎回同級生の友だちにおんぶしてもらって通学していた。同級生も相当大変だったと思う。
空手の練習のあとに帰ってくると家の玄関のドアにカエルが張り付いていたことがあり、道着姿のままカエルが動くまで二時間以上ドアの前に立っていたこともある。
そして理科の教科書さえもカエルのページや気持ち悪いと思ったページをノリで貼り付けて間違っても開いてしまわないようにする程の徹底ぶりだった。
今でもカエルの画像をツイートした人を見かけると片っ端からブロックしている。

高校生の時、家庭科の調理実習で魚を三枚おろしにするという授業があった。授業をサボりまくって単位がギリギリになっていた百恵ちゃんは1時間たりたも休むことができなくなっていた。百恵ちゃんの通っていた高校は補習授業を行っていなかったため退出すれば即留年確定という厳しい状況に追い込まれていた。

しかし頭のついたままの魚に触ることが気持ち悪く、物凄い勢いで嫌がったのだが先生は許してくれなかった。普段からわがままを言い過ぎていて先生に全く響いていなかったのである。

百恵ちゃんが捻り出した苦肉の策はキッチンペーパーで左手をグルグルに巻いて感触だけでも紛らわそうというものだった。
しかし半泣きになりながら魚を触ろうとした瞬間、手首から腕あたりまで蕁麻疹が出始めた。

百恵ちゃん

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