実はこの東4局に至るまで、高宮は
近藤に18000と8000を放銃
丸山に12000を放銃
と、強烈なパンチを3発も浴びているのだ。
特に先ほど紹介したアンカンからの
放銃は、高宮自身も少し攻めすぎだったと反省していたのかもしれない。

さらに捨て牌をみつめ、何かをつぶやく高宮。
一旦を切るべきかと迷っていたのだと思う。
瞬間、やばい…と感じた。
親番、ラス目のこの手牌で強く押せなくなってしまったら、高宮のストロングポイントがなくなってしまう。
今季になって、ひたすらストロングポイントを活かしていく高宮の麻雀が好きだった。ときに押し過ぎと感じる局もあったが、いくら放銃したりラスを引いたりしても攻め続ける姿に感動すら覚えた。
パンチを連続で浴びて、膝にきていたのかもしれない。
心が弱い方向へ傾いてしまったのかもしれない。
何を思ったのかは、私にはわからない。
しかし、高宮は丸山のリーチから目をそらさず、意を決したように

を打ち抜いた。
よかった。私は安堵した。
高宮はまだ戦場で踏ん張った。
点棒は削られようとも、押していく気概だけはまだまだ残っていたのだ。

2巡後にツモってきたはすぐにたたっ切る。
もう、迷わない。

ダブをポンして…

5800のアガリをもぎとった。
その後も高宮は追い上げ、箱下10000点近くあったところから20000点まで回復、一時3着目になったが、最後も攻め切った結果、ラスに終わった。

しかし、高宮は「らしさ」を失わなかった。

麻雀格闘倶楽部は少しポイントを減らして+27.4ptの4位。
踏み込めなかった藤崎を紹介したが、14戦でラスがないという安定感を持っているということも事実だ。藤崎が守り、前原・寿人・高宮が攻めまくるという構図で、麻雀格闘倶楽部は上位進出を狙っていく。
そういう意味で、自分らしさを貫けた高宮のこの半荘は、ラスで終わったとしても、大きな意味を持つのかもしれない。
オマケ①
いつもの半分の文量で終わってしまったので、オマケを追加しておこう。
1戦目のトップは小林。

小林は、をポンしたこの11枚から
を切った。
私は、受け入れ枚数を狭めてまで変化を残すのがとても苦手だ。
特にこの手牌のようにピンズを横に伸ばしても打点がアップするわけではないので、を切ってしまうと思う。
しかしこの打という選択には多くの含みがある。
まず、次にをチーしてカン
待ちになった時に少しだけ出アガリしやすくなる、という迷彩効果。
そしてピンズ部分はツモといった横伸びだけではなく、ツモ
で
のポンテンにとれるという効果もある。
さらに実戦のように

先にをポンしたときにも、打
として、
のノベタン部分が活きてくる。
さらに言うと、ツモ次第ではピンズのホンイツまである。
小林は今解説した全ての含みを














この時点で考え、瞬間のロス()を承知で
を切っているだ。
本当に仕掛けたときの運用の安定感はピカイチだと思う。

オマケ②
2戦目のトップは近藤誠一。
近藤は、3回の大物手をアガった以外の局は、ずっと大人しくしていた。
アガった局ばかりクローズアップされがちだが、近藤の真骨頂はアガれなかった局にある。

南場の親番を迎えた近藤は、ここからを切った。
か
を切る人も多いと思う。