独走が止まらない佐々木寿人
「魔王タイム」はどのように
生み出されるのか⁉︎
文・真中彰司【金曜担当ライター】2020年12月4日

第2試合
南家 魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
西家 沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
北家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

今回取り上げるのは、麻雀格闘俱楽部の絶対的エース、佐々木寿人。
ここまで11戦6トップ、個人首位を快走中のこの男の持ち味は、なんといっても圧倒的な攻撃力。

その怒涛の「魔王タイム」に巻き込まれた相手は、ただただ点棒を払い続けるしかない。
しかし、この魔王タイムを生み出すためには、ただ攻め続けるだけではいけないのだ。
今回は、魔王タイムの「準備」とも呼べる1局を取り上げたい。
東1局
東発からホンイツか七対子を目指して手を進めていく寿人。

か
を重ねればテンパイというところまで来たが…


魚谷がと
をポンして、さらに
を手出し。
明らかにピンズのホンイツで前に出てきている。

さらに沢崎も、かなり中張牌を切りつつ、単騎の七対子にまとめていた。

テンパイを目指すならも
も切り飛ばしてしまいたいところ。

しかし、そこで安易に打たないのが近年の寿人なのである。

を打って撤退し、1人ノーテンで失点を最小限に抑えた。

アガリの見込みが無いときは、絶対に中途半端に放銃しない。
これが魔王タイムの第1段階であり、ジャンプする前に膝を折り曲げている段階なのだろう。
東1局2本場
そして次局。なんとも威圧感のある仕掛けが場を凍り付かせる。

この仕掛けの主は…

なんと亜樹だった。亜樹の3副露は非常に珍しく、高いことが予想される。
亜樹もそのイメージを逆手に取って、あえて遠く高い仕掛けを使ったようだ。

普通の打ち手ならそれでも手を進めて、何とか安全に局を流そうとするだろう。
だが、寿人は違った。の両面テンパイまでたどり着くと、堂々とリーチに打って出たのだ。

親が高そうな仕掛けをしていて、自分は役アリでダマテンできる手。
それなのにリーチをするというあたりが、実に寿人らしい。
「この局は降りない、必ずアガるんだから問題ない」という強烈な意志を感じる。

すると、亜樹から一発でが出てきて満貫のアガリになった。

親に立ち向かってもぎ取った、気持ちの良いアガリ。