「まだまだ未熟ではありますが、今後とも、渋谷ABEMASならびに松本吉弘をよろしくお願いします」
松本はこう締め、そして笑顔で待つチームメイトの元へ帰っていった。
これがチーム戦でなく、個人競技だったら、ここまでのプレッシャーはなかっただろうし、今日の熱いめくり合いも淡々としたものになっていたと思う。
Mリーグの最大の見どころは、赤入りルールでもユニフォームでもなく、チーム戦によって生まれる人間ドラマだと感じる。
誰かが勝てば誰かが負ける。
そして負けの分、ドラマは生まれる。
レギュラーシーズン終盤に向け、今後はそのドラマが加速していくだろう。
オマケ。
朝倉の放銃について。
この場面が物議を醸しているが、この放銃自体はとてつもなく仕方ない。
まず第一に、松本がこの捨て牌でテンパイしているケースが非常に少ない。
中張牌が1枚も余っていない。
そして仮にテンパイをしていても、直前に鳴いていないで当たるケースはレアケースだと言えるだろう。
1枚切れのはのちのち切っていくとして、この瞬間の選択肢としてはドラ周りのソウズで万が一の放銃を避けるために、を切ってベタオリルートに向かうのは至極当然に思える。
ただ…である。
こうなること(=切れない牌が多くなり、ベタオリになることが想定される)が推測されるのであれば…
この配牌からベタオリする…という選択肢はあったのかもしれない。
お世辞にも良いとは言えない配牌だ。
1段目に中張牌を並べ、松本の安全牌を確保し、2段目以降はその安全牌と合わせ打ちで流局に向かう…というプランがベターだったように感じる。
Piratesにとっては、オーラスまくられ2着が続き、モヤッとした夜になってしまった。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」