小さな積み重ねに、夢をのせて
頼れる船長・小林剛が選んだ
航路の先に待っていたモノ
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2022年10月7日
例えばあなたが麻雀を打っていたとして。
自分の点数は僅か400点。
上は1番近い3着が21900点持っていて。
自分が親番ではない南1局。
ドラも赤も無いこの手から、あなたは出てきた1枚目の役牌を鳴きますか?
確かに鳴いたらアガリは近い。ただしその大半が、1000点、良くて2000点といったところか。
あまりに寂しい。リーチも十分に見込める手であることから、鳴かない人も多いのではないだろうか。
400点の持ち点でもリーチができるルールなら、1000点をアガっても状況はあまり好転しないように見える。
「ポン」
それでも小林剛は、鳴いた。
やるべきことは変わらない。
決して順調な航海ではない。それでも。
小林剛は、慌てない。
その視線の先には、いったい何が見えている――?
第2試合
東家 多井隆晴(渋谷ABEMAS)
南家 堀慎吾 (KADOKAWAサクラナイツ)
西家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
北家 東城りお(セガサミーフェニックス)
Mリーグ開催初週最終戦となった本日の第二試合。
強者揃いとなったこの半荘は、実に19局という長い対局になった。
しかし流局が1度だけであり、他全ての局に和了りが発生するという凄まじい叩きあいだったこともあり、私自身もそうだが、見ていた人は一瞬に感じたのではないだろうか。
早速そんな激闘の半荘を見て行こう。
東1局。
まず先制したのは小林。軽快に仕掛けて500、1000のアガリ。
実況の小林未沙さんも口にしていたが、ここまで500、1000という点数申告が似合う打ち手は小林かあとはドリブンズの園田くらいのものだろう。
東2局は堀が2900を多井からアガり、東2局は1本場へ。
親番の堀が9巡目にしてこの手格好。
タンヤオピンフ、赤があって更には三色まで狙える絶好の手。
堀はこの手から10巡目に多井から出たでチー。
そもそも三色はと引かなければ確定しない上に、巡目も深くなってきている。
ここは2900で手を打つことにしたが。
即座に切られる。
流石の堀もこれには「くらくらきました」とインタビューで語っている。
だけはダマで安目12000、高目18000という恐ろしい手に化けるからだ。
しかし速度読み自体はしっかりとハマっていた。
リーチ宣言と共に東城から放たれたをしっかりと捕まえる。
2900は3200のアガリで堀がトップ目に立つ。
更に2本場でも3900のアガリを多井から堀が討ち取るが。
ならばと多井が1000、2000の3本場をツモって戦線復帰。
早くも第2試合は凄まじい叩きあいの様相を呈してきた。
東3局。
親番の小林が、東城の先制リーチをかわしきって1500のアガリ。
ピンフのみをダマに構え、堀の対子落としを捉えた。
親でピンフのみのアガリを嫌う打ち手であれば、リーチも十分にあっただろう。
しかし小林は和了率を優先した。
この姿勢が、小林は一貫している。