見ているだけだった背中
けれど今こうして、
俺たちは戦っている
渋川難波が同世代の雄と
並び立った日
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2022年 11月 25日
『白鳥世代』
同世代の麻雀プロの中で一足早く頭角を現し、様々な舞台で活躍をしていた白鳥翔の存在により、白鳥と同じく1986年生まれの麻雀プロ、渋川難波は周りからそう呼ばれたと話す。
Mリーグでも初年度にドラフトにかかり、その実力を存分に示してきた白鳥。
そんな白鳥の活躍を見ていた渋川には嬉しい気持ちと同時に、悔しい気持ちがあっただろう。
いやむしろ、悔しい気持ちの方が大きかったはずだ。
11月25日 第2試合
今宵、同世代の2人がMリーグの舞台で初めてぶつかる。
今年ドラフト指名を受けてサクラナイツの一員となった渋川。
常勝軍団アベマズの中核を担い続ける白鳥。
「追い付いたとはまだ思っていない」とドラフト指名当時渋川は白鳥に対しての想いを語っている。
では追い付くには?
結果で示していくしかないだろう。
東家 萩原聖人 (TEAM雷電)
南家 渋川難波 (KADOKAWAサクラナイツ)
西家 東城りお (セガサミーフェニックス)
北家 白鳥翔 (渋谷ABEMAS)
東1局は白鳥が軽快に1000点で捌き、続く東2局。
親番渋川の手牌。
ドラが2枚あって役牌が対子の手牌。
ここから渋川は
ドラの切り。
元々を初打に切り飛ばしてドラ受けは拒否していた。
アガリにくいドラ周りよりも、にくっついてのメンタンピン赤や、ピンズが伸びての一気通貫などもある。
一方こちらは白鳥の手牌。
国士に向かっていたところからドラのを引いて方針変更。
役チャンタを見据えた手組へ向かい、この形からをポン。
役チャンタドラが見えることから、かを切り出すかと思われたが。
打。
ペンの苦しい形が残っての3900はいらない。それに加え、のターツの部分、チャンタに必要なは既に3枚場に見えてしまっている。
これでの方がが埋まってしまったら2000点にしかならない。
であれば、もう一つ字牌やを重ねてのドラ1、高目チャンタがついて8000点の方が嬉しい。
それに加えてのターツがドラを切ってきている親の渋川に全く通っていないこともあっただろうか。
不安定な上、安全度も高くないを残すより、比較的安全なを残しつつ、アガれる時は高い手で。
白鳥が誇る安定感が色濃く見える一打だ。
対する渋川。を引いてきたが、これを残すとリーチのみになってしまう。
にくっつけたルートも残したいところだが……。
構わずを打ち抜いた。
リーチへ最速に。にくっつく牌は3から7の牌だが、のどっちかを持ってこないと満足の行く形にはなりにくい。
それよりも、場に安いピンズで勝負。から引ければイーペーコーだ。
東をポンした後に最後のを引き入れた白鳥。
これで見事単騎に構えて8000点のテンパイへたどり着いた。
そこに追い付いた渋川。
ドラの、と切る事にはなったが、見事場に安いピンズでのリーチは見事4枚山。