友添敏之、
忍耐の末に探り当てた
決勝への道筋
【A卓】担当記者:東川亮 2022年12月11日(日)
麻雀最強戦2022。今年もプロアマを問わず、数多くの麻雀打ちがこの舞台に挑んできた(筆者もその一人である)。ファイナル2ndStageに駒を進めたのは、わずか8名。運の要素が大きい麻雀において、実力と運、そして勝利への思いを強く携えた8名である。しかし、最強の称号が与えられるのはただ一人。最後の戦いへと駒を進めるべく、おそらく2度とないであろう組み合わせの対局が始まる。
友添敏之
麻雀プロとしての活躍と独自のアプローチで「男子プロ魂の一打」へのエントリーを勝ち取り、Mリーガー6名が集まった大会で優勝。今年の麻雀最強戦における「顔」の一人となった。だが、あくまでも目指すは最強位。ここもまだ、通過点だ。
ももたん
アマチュア最強位が、2年連続でファイナル2ndStageへと進出。舞台の大きさはあれど、やることは同じ麻雀である。自身の歩んで来た競技麻雀道の行く末を、自らの目で見届けよう。
丸山奏子
Mリーガーに大抜擢されてから3年、シンデレラガールは麻雀プロとして実力とキャリアを積み、最強戦ファイナルの舞台へ登場した。自身が今だ手にしていないタイトルを、この手で掴みにいく。
瀬戸熊直樹
現・最強位は1stStageでの苦戦を、自らの力でこじ開けて勝ち上がった。この1年、最強位としてできる限りのことはやってきた。彼の仕事はあと一つ、現行システムになってから初の連覇を成し遂げることだけだ。
瀬戸熊直樹・麻雀最強戦モード
開局から4分弱、最初にアガったのは瀬戸熊。を暗刻にし、をポンしてテンパイを取ると、すぐに友添から出た捉えた。ただ、打点は1000点である。どっしりと構えて高打点を狙う瀬戸熊のイメージとは少し違う軽いアガリだが、ライバルの親は、つぶせるときに確実につぶす。これが一発勝負の麻雀最強戦、そして2位まで勝ち上がれるレギュレーション上の戦略ということか。
東2局。4トイツの瀬戸熊のところにシュンツが完成するが来ると、からを切ってメンツを固定。現状ドラも赤もない手で、チートイツはテンパイしにくいし打点もあまり期待できない。それであれば、横に延ばしてよりテンパイ、アガリに近づけていく方針。もちろん、門前手順にもぬかりはない。
手牌をしっかりと横に伸ばし切ってテンパイ、即リーチ。
待ちのは山の残り枚数こそ少なかったが、ゼロではなかった。ラスト1枚をツモって1300オールは1400オール。瀬戸熊が少しずつ加点をしていく。
次局、ももたんが先制のカン待ちリーチ。
ドラ1でダマテンなら3200スタート、待ちのカンは1枚切れだが、ピンズの上目を早い段階で2人が切っていて、場況がいいと判断したか。
は丸山の手の内に1枚あり、
瀬戸熊の次のツモがだった。いずれもダマテンなら打たれてもおかしくなかった。リーチで打点を上げて下2人を突き放そうという思考だったと思われるが、やや裏目に出た格好。
瀬戸熊は最後のを引き入れて出ない形にし、最終的にテンパイして連荘に成功。細かい加点をしながら、徐々に自分にとって有利な状況を築き上げていく。
天秤は揺れども傾かず
その後、試合は小さなアガリの応酬となった。
東2局3本場は友添が瀬戸熊から1000は1900を出アガリ。
東3局は瀬戸熊が丸山に1000点を放銃。
東4局は丸山がももたんからリーチピンフの2000点を出アガリ。
南1局では友添が丸山から1000点を出アガリ。大物手の気配を漂わせる打ち手もいたが、小さなアガリばかりで局がどんどんと進んでいく。
南2局も友添がチートイツのドラ待ちテンパイを入れたが、
仕掛けた瀬戸熊がももたんから1500のアガリ。最少、あるいはそれに近いロンアガリの連続は、まるでゆらゆらと揺れる天秤のようである。
崩れる均衡、抜け出るアフロ
このような均衡は、突如として崩れるものだ。その予兆がただよい始めた南2局1本場。瀬戸熊が678三色の見える1シャンテン、ドラも使える形。
丸山も好形変化が多い手格好となり、虎の子の安全牌を消費して、目いっぱいに構えた。既に丸山に親番はなく、こうなったらもう、何も逃せない。
だが、先手を取ったのはももたん。ピンフドラ1のリャンメン待ちリーチは、道中でをトイツ落としで待ちと打点をしっかりと狙った手順によるもの。
退いた瀬戸熊、粘りたい丸山を尻目にツモアガリ。裏ドラは乗らずとも1300-2600は1400-2700、ももたんが2番手に浮上した。
南3局、丸山はドラのがトイツ。他の形もそこそこまとまっていて、仕上げれば一気に逆転通過も見えてくる手だ。