渋川難波の受難 剣は折れども心までは折らせない【Mリーグ2022-23観戦記3/3】担当記者:後藤哲冶

渋川難波の受難
剣は折れども
心までは折らせない

文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年3月3日

まだ記憶に新しい、2月28日火曜日第2試合

KADOKAWAサクラナイツのエース、内川幸太郎はオーラスに劇的な倍満をツモり上げ、下降気味であったチームにトップを持ち帰った。

そして本日の第1試合では。

岡田紗佳がリードを守り切り見事トップ。
チームはレギュラーシーズン通過ボーダー争いから少し抜ける4位にまでランクアップ。

まさしく風が吹いていると言って良いこの状況で登板を任されたのは。

渋川難波
連覇達成のために今シーズンからサクラナイツに加わった魔神は、未だその力を十分に発揮できずにいる。

今日はその力を存分に示し、チームの流れに乗ることができるか。

3月3日第2試合
東家 二階堂亜樹 (EX風林火山

南家 瀬戸熊直樹 (TEAM雷電
西家 小林剛   (U-NEXT Pirates
北家 渋川難波  (KADOKAWAサクラナイツ

東1局

親番の亜樹が好配牌。【6ピン】を引き入れて、【9マン】の対子落としへ。
シャンテン数は落ちるが、打点面でも優秀なタンヤオへ。くっつきも優秀な牌が残っているので非常に対子落とししやすい状況だ。

一方で渋川にも良い手牌が入っていた。
イーシャンテンから引き入れたのは【3ソウ】。良い待ちでリーチをかけたいと思えば、ツモ切りも選択肢には入りそうだが。

打ち出したのは【9ピン】。萬子の形が雀頭を作りやすく、テンパイへの受け入れ枚数が違いすぎる。
ドラ1ならカン【4ソウ】残りでも即リーチを打つと決めてあるからこその判断。

先制は亜樹。ドラを引き入れてメンタンピンドラ1の十分すぎるリーチへ。待ちは【5ピン】【8ピン】だ。

2巡後に、渋川が追い付いた。【1マン】を引き入れてのカン【4ソウ】テンパイ。
もちろん先制リーチなら打つ気でいたはずだが、親からのリーチが既に入ってしまっている。
親相手に愚形ドラ1で追いかけるのは勇気がいるが……。

渋川は少考の後にリーチへと踏み切った。
これが渋川の強さの理由の1つ。上下への振れ幅は激しくなるリーチ判断でも、迷わずリーチに踏み切れる。
安全牌は【9ソウ】【5マン】の2枚しかなく、ダマテンに構えたところで【2ソウ】を切っているので手変わり期待もほぼ無い上に、現状役が無いので亜樹からアガることができない。
ならば、リーチをかけて出アガリの抽選を受けた方がマシだよね、という考え方だ。
トップ取りを強く意識している渋川らしい判断と言えるかもしれない。

しかし勇気のリーチも虚しく、亜樹が直後にツモアガリ。
4000オールの加点で先制する。

そして直後の1本場でも、誰も追い付けない僅か3巡目での3面張リーチをツモって再び4000オール。
これで亜樹が大きく突き抜ける格好に。

2本場は瀬戸熊が小林から1300をアガって、東2局へ。

渋川の手牌。
【4マン】【7ピン】のくっつきテンパイの形だったところに、【1ソウ】を持ってきた。
直前に小林から【3ソウ】が打たれており、渋川の目から【3ソウ】はノーチャンス。【2ソウ】を引いての一気通貫完成は十分に狙えそうだ。

【7ピン】。ドラが【2マン】なのでマンズのくっつきと、一気通貫という打点を見た手組。

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