目醒める二刀流の野獣
鈴木大介の進化が
BEAST復活の未来を呼ぶ
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2023年12月14日
新チーム、BEAST Japanextは苦戦を強いられていた。
レギュラーシーズン半分弱を終えて、積み重なった負債は570pt。レギュラー突破には既に黄色信号が点灯していると言って良い。
この日1戦目を任された爆発力が売りの鈴木大介は、何もすることができずに4着に沈んだ。
以下のスタッツを見ていただければ、どれだけ大介が『何もできなかった』かわかるだろう。
リーチ回数、アガリ回数、放銃回数、全て0回。
他の打ち手ならまだしも、大介の雀風を知っている方であれば、これがどれだけの異常事態かは理解して頂けるはずだ。
そして2試合目。大介はもう一度戦いの舞台に立った。
ここで結果を示さなければならない。大介の表情に、笑みは無かった。
12月14日 第2試合
東家 鈴木大介 (BEAST Japanext)
南家 松ヶ瀬隆弥 (EX風林火山)
西家 園田賢 (赤坂ドリブンズ)
北家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
東1局
「うっ……」
この日解説を務めた土田プロが、思わず呻き声を上げた。
大介志願の連闘、その大事な東パツの親番。ドラこそあるがこの配牌は、アガリにはあまりにも遠い。
そんな中で、松ヶ瀬の第一打にポンの声がかかる。
現在個人首位をひた走る、ドリブンズが誇るエース園田だ。
この手は高くはならないと踏めば、かわし手に向かう。バックで仕掛ければ、ある程度安全も買いながら進行できる。
なかなか鳴くのを躊躇う人が多そうなだが、園田は迷わずに仕掛けていった。
3副露までした園田が、松ヶ瀬からを捉えてアガリきった。
松ヶ瀬も、ドラまで切った園田が安い事は明確にわかっており、打っても良いと判断しての打。
まず1度目の、親が落ちる。
あまりにも早い親落ち。
大介は静かに、再び上がって来た新たな配牌を整えた。
東2局は小林がドラのを暗刻にして冷静なダマテン。
同じく待ちのテンパイを入れていた園田のテンパイとのめくり合いを制し、2000、4000の加点。トップ目に。
勢いに乗る小林は、ここも先制リーチ。
西を引いてリャンメンに待ちが取れるのなら、当然のリーチ選択。
現物の北を対子落としで回っていた大介が、ここで切り。
は通ってはいないがワンチャンスの牌。
対しては通っているが、それだとドラが出て行ってしまう。
タンヤオでテンパイを組めれば、十分な勝負手になると踏んで迂回。
この局、園田の判断が見事だった。
好配牌を入れていたが、リーチ後に小林がツモ切ったをなんとスルー。そして持ってきた安全牌の中を抱え、を先に切った。
リーチ者小林の現物であるを、大介と松ヶ瀬が切っておらず、こののイーシャンテンは、かなり強いと判断したのだ。
ポンして2900ではなく、これはリーチして高打点で仕上げる、と。