包囲網を突破せよ!
鈴木優が絶望の中で手繰り寄せた
反撃のきっかけ
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年2月19日
第2試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
Mリーグ2023レギュラーシーズン170試合目。
シーズン前半の好調と打って変わって、逆風の中に身を置く男がいた。
鈴木優だ。
優は11月~12月に前人未到の5連勝を達成し個人成績首位に躍り出る。
しかし年が明けてから登板した4戦の着順は3・2・3・4と徐々にポイントを減らしていた。
苦しい展開はこの試合でも続いた。
東1局では高宮の5巡目7,700点に放銃し
続く東1局1本場ではの3面張をテンパイしているところから魚谷のシャンポン待ちリーチを受け、唯一の当たり牌を引き5,200点の放銃。
東2局の親番はテンパイまで漕ぎつけるものの、高宮のツモで2,000点を失う。
交通事故のような放銃に圧倒的有利な捲り合いからの放銃__
東3局時点で既に点数は10,000点を切っていた。
1回戦の仲林がトップを獲得し、首位奪還が見えてきている。
連対と言わずとも失点を抑えて試合を抑えたいところではあるが、大きな反撃のチャンスも無く、最後の親番を迎えた。
南2局に入った時点で優の持ち点は8,400点。
麻雀は親番が1回でもあれば、ルール的にどれだけ点差がついていようとも逆転できる可能性はある。
しかしもちろん、そう簡単な話ではない。
優以外の3人の点数を見ると、トップ目魚谷から3着目内川までの点差が13,300点差で、魚谷以外もまだトップになる可能性は充分にある。
対して3着目内川とラス目優の点差は15,000点差で、もし優の親番を流すことができたらラスを押し付けることができる。
トップを競っている3人だが、この局に限っては結託して軽く蹴ってくる展開が考えられるのだ。
3巡目、優の手牌。
ドラ・手役が無い手だがイーシャンテン。
先述の通り、3人が局を軽く流してくる可能性があるため、優としては3人が自由に動けないよう一刻も早くプレッシャーをかけたい。
手っ取り早いのが先制リーチだ。
点数が離れたラス目の親リーチが入れば、よほど手がまとまっていない限り3人とも押し返しにくくなる。
その点、愚形残りとは言え3巡目でイーシャンテンなので悪くは無い。
しかし、ここから場は急速に動いていく。
4巡目、優が切ったを南家の内川がポン。
優から見た内川の捨て牌がこちら。
字牌から切り出し、→と真ん中の牌が既に溢れてきている。
打点こそ分からないものの、かなり早そうに見える。
イーシャンテンか、もしかするとテンパイかもしれない。
次巡、優のツモは。
ドラはだが、カンターツを払ってもタンヤオが付くため打点
は変わらず、後の好形変化を考えると→と払っていきたい。
しかし、優は内川の上家に座っている。
内川の捨て牌にはマンズの情報が無く、もしドラ周辺のターツを持っている場合、・どちらか鳴かれる可能性がある。