攻めて良し守って良し
期待に応える
天才の名は堀慎吾
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年3月4日
第2試合
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
西家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:鈴木大介(BEAST Japanext)
完全なる堀慎吾の半荘__
Mリーグ2023レギュラーシーズン186試合目は、そう呼ばれるに相応しい試合となった。
堀のスタッツはアガリ6回に対し放銃0回。
他選手も好プレーを連発し見どころの多い試合だったが、蓋を開けてみれば、直近不調が続いていた堀の復活劇となった。
試合を決定付けたのはやはり東場の親番。
8本場まで続いた親番で4回のアガリを決め、堀は46,000点の加点に成功した。
6本場・7本場でアガった12,000点が加点の内訳として大きいのは当然だが、この大連荘を生んだきっかけ、堀の麻雀の真髄を見たのは東3局3本場だった。
7巡目、親番の堀は安全度の高いを切り目一杯に構える。
マンズ・の横伸びからの好形リーチを目指しつつ、いざ他家から先制されたときはが対子なので守備にも転じやすい。
直後、西家の滝沢からリーチがかかる。
リーチ・一盃口・赤の・待ち。
1巡目から既に七対子のイーシャンテンだった滝沢だが、道中にできたリャンメンから先に埋まり、シャンポン待ちでのテンパイとなる。
リーチ1発目にを引きイーシャンテンとなった堀だが、形が悪く押した際に出ていく牌も無筋なので一旦の対子落としで迂回する。
その後・と引き入れる。
形だけ見ればマンズの3面張ができているが、切り出されるはドラで、滝沢のリーチに対して非常に危ない。
滝沢の河には→と切られている。
この河にはいわゆる「間4軒」と呼ばれる筋だ。・を跨がない筋がしかないため、リャンメン固定などで・を先に切っている場合以外では、マンズでリャンメンに当たるのはだけになる。
堀は少考の末、やや形が弱くなるがドラのが出ていかない現物の切りを選択する。
形にやや不満が残るものの、ドラを引いたことで7,700点以上が見込めるイーシャンテンになった堀。ここから怒涛の攻めが始まる。
まず引いたのは。
これは先ほどの説明の通りが先に打たれているので無筋の中では比較的押しやすい。スッとを切る。
次に引いたのは。
を切れば受けができるが、・ともに通っていない。
しかし7,700点以上が確定したリャンメン待ちのイーシャンテンと考えれば見合うと判断し、を強気にプッシュ!
続いて無筋のが対子になるがこれもツモ切り。
堀の怒涛の攻めが続く。
強気な選択を続ける堀にツモが応えず、中々テンパイが入らない。
ここまででも充分に強烈な攻めだが、問題は次だ。
最終手番でを引きのテンパイとなる。
ただし、テンパイを取るために切らなければいけないのは。
堀は長考し、切りリーチを選択した。
この。
考えれば考えるほど、非常に危険度の高い牌だ。