チームヘラクレスに新たに加わった風の名前を、私は知らなかった。
龍惺ろたん。
ドラフト指名を受けた時の反応を、ご存知の方も多いかもしれない。
なんとお花見会をしている間に選ばれたという、あまりにも大物過ぎる呟きをしていたのだ。
そんなどこかおとぼけ(?)キャラクターな彼女だが、麻雀の腕はあの千羽黒乃も認める所。
どんな麻雀を打つか楽しみにしていた神域ファンも多いのではないだろうか。
チームヘラクレスは、開幕戦を任された監督松本がまさかまさかのハコ下に沈む4着。
控室に戻ってきて凹んでいる松本に対して、
「マツ如きが一回負けたくらいでヤバくないだろ! 」
「なんだと思ってんだ! 」
と厳しくも愛ある言葉をかける選手達。
それに苦笑いしつつ松本は2試合目を戦う龍惺に声をかけた。
「いやちょっと頼むわろたん」
「まかせて~! 」
今日がデビュー戦となる龍惺だが、緊張を全く感じさせない間延びした声音。
ドラフト時から注目を集めた大物新人がどのようなデビュー戦を辿ったかを、見て行こう。
第1節第2試合
東家 桜凛月 (チームゼウス)
南家 風見くく (チームアトラス)
西家 咲乃もこ (チームアキレス)
北家 龍惺ろたん(チームヘラクレス)
先制パンチを放ったのは今年からアトラスの一員となった風見だった。
風見はこの赤を引き入れてテンパイ。
昨年から見ている人なら知っているかと思うが、風見は昨年、監督だった渋川からとにかく「リーチ」を教えられていた。
その教えに習い、ここもリーチかと思われたが。
風見はダマを選択。
実はこれは見事なダマ選択で、ダマでも打点が6400点あること、待ちがカンと決して良い待ちではないこと。
そして手変わりが、のリャンメンに変化する牌の他に、を引いてきてのシャンポン変化も嬉しいという理由がある。
そうして次巡持ってきたのは。
これをカンすると――
なんと引き入れたのは一番嬉しいリャンメン変化の……!
待ちに不満が無くなった風見はこれでリーチ宣言。
待ちだ。
一方この時、北家に座る龍惺にも良い手牌が入っていた。
「ブーン! ブーン!」
……ピンフイーペーコーが見えて、ドラも1枚確定で使える形。
文句なしの好配牌だ。
風見のリーチが入った後、龍惺もを引き入れてテンパイ。
待ちのリーチタンヤオピンフ高目イーペーコーで追いかける。
どちらもアガれば8000点からの勝負手同士。まず最初のめくり合いは……。
風見が制した!
昨年、何度も何度もリーチを打っては敗れ続けた風見が、嬉しいアガリ。
ダマ選択からのリャンメン変化を捉えたのも、実に見事だった。
しかしこの試合は、ここから高打点が乱舞する試合展開を見せる。
東3局
今シーズンもゼウス続投となった桜凛月の手に凄まじい配牌が入っていた。
を鳴いてをロンで8000点の手格好。