山部正人、
細かな選択が織りなす過程の先にある最強の座へ
【決勝卓】担当記者:東川亮 2024年10月27日(日)
麻雀最強戦、全国アマチュア最強位決定戦。
全国のアマチュア競技麻雀愛好家にとって最高とも言えるその舞台は、かつて筆者も目指していたことがあった。
実際に2回ほど店舗予選を勝ち上がって地方最強位決定戦に残ったことがあり、だからこそ壁の高さは実感していて、勝ち上がった人たちには大きなリスペクトがある。
今年のアマチュア麻雀打ち最強の称号を懸けて最後の戦いに臨むのは、
中国最強位・ゆき。
東東京最強位・山部正人。
北海道最強位・てまち。
麻雀格闘倶楽部SP最強位・大河内茂之。
わずか1半荘で1年間の結果が、2万人の頂点が決まるなんて、麻雀的にはナンセンスなのかもしれない。
けれども、その厳しさ、はかなさがあるからこそ、麻雀最強戦は面白い。
さあ、今から最強を決めよう、この場所で。
一発勝負、トップ者以外は等しく敗退という麻雀最強戦においては、アガれる手、高い手をしっかりとものにすることは、勝つための最低条件と言っていい。
最初に主導権を握ったのは、てまち。
東2局、親番でトイツ、打点の見える配牌を手にすると、迷うことなくホンイツへと向かう。ドラがなくとも満貫を作れる材料は、しっかりと生かしていきたいところ。
ポンから自力でピンズを引き入れ、待ちのシャンポン待ちテンパイ。
大河内のリーチがかかるも押し切って、4000オールのツモアガリ。次局もアガって、まずはリードを築く。
東4局1本場では、ゆきの決断が光った。山部の先制リーチに対し、カン待ちで追いついくと積極果敢にリーチ。
親の先制リーチに対して愚形待ちで追っかけるのはかなりリスキーであり、平時の麻雀であれば、実行する人は多くないだろう。しかし現状で自身は4番手、親にリーチをツモられてしまえば、かなり大きく離されることになる。
ましてや、自身は起家スタート。南1局の親番はさっさと蹴られてしまいそうな可能性が高いし、そうなれば逆転は非常に厳しくなる。
ある意味で、ここが勝負どころと踏んだ決断である。
そんなゆきに、ツモが応えた。
分の悪いめくり合いながらこの局面を見事に制し、2000-4000は2100-4100のツモアガリで脱落を拒む。
南2局では、山部が素晴らしい選択を見せた。
中盤、タンヤオの1シャンテンで、カンとカン、どちらが残っているかを比較してのターツ選択。
見た目枚数的には1枚切れな分のほうが良さげに見えたが、その分持たれているとの判断か、山部の選択は切りのカン受け残し。
見事に引きという正解ルートを選び、リーチをかけて、
一発でツモって2000-4000。
この状況で必要なのは、正しい理屈よりも結果。
満貫ツモという結果は、今の山部に取って極めて大きい。
大量加点と共に、トップ目てまちの親番を流すことに成功した。
南3局。
ここは、てまちにとっては一つの勝負どころだった。現状、点数状況は自身と山部が他2人を少し離して競りの状況。
ここで大河内の親をクリアできれば、ゆきと大河内にはアガリに厳しい条件が課せられるため、オーラス親番の山部との有利な一騎打ちに持ち込むことができる。