猿川真寿と尻無濱航、両者の意地の張り合いに下された結末は…? #麻雀最強戦2022 【男子プロ因縁の抗争】観戦記【B卓】担当記者:増田隆一

猿川真寿尻無濱航

両者の意地の張り合いに

下された結末は…?

【B卓】担当記者:増田隆一 2022年7月17日(日)

昔、荒正義が言っていた。

「世に出てからがデビューだから」

荒の時代はプロ団体などなく、荒自身も王位を獲得して初めて周囲からプロと認識された。

プロになることがデビューではなく、テレビや雑誌、今ならばインターネットなど、媒体で活躍して名前を知られるようになって初めてデビューしたと言える、そんな意味である。

時代は違えども”売れてナンボ”と言うのは今も変わらない。

では、私と同期入会で最初に売れたのは誰なのか?

それは猿川真寿である。

若くしてマスターズを獲得し、当時は数少ない放送対局などにも出演。

私も、猿川がマスターズを獲得した前年に王位戦の決勝に残っており、あの時に王位になっていれば人生が変わっていたかもしれないと今でも思う。

同期の活躍は嬉しくもあるが、悔しさや嫉妬、そして焦りと様々な感情が入り乱れるものだ。

そして、藤島健ニ郎も私の同期の1人である。

猿川が本当の意味でのデビューを果たし、続いて勝又や前田がタイトルを獲得して世に出てゆく。

特に藤島は同じ静岡出身、プロリーグにおいても、猿川と同じくらいのリーグを推移していたと言うこともあり、相当歯痒い想いをしたであろう。

時は過ぎ、今や藤島もプロ連盟の最高峰、A1リーグへ昇級し、こうした舞台で猿川と牌を交えることになった。

因縁と言えるかは分からないが、今日は藤島にとって期する想いが強いことは間違いない。

そして岡崎涼太

プロ連盟が新設した若獅子戦で実績を残し、昨年の最強戦に出場。

見事ファイナルまで勝ち上がり、今回も出場することになった。

今回もファイナル16席の椅子を目指すのはもちろん、今年は去年よりも1つでも上の舞台へ。

本人も事前インタビューで言っていたが、1度はフロックでも勝てる。

毎年、少しでも上まで勝ち残り、実力を証明するためにも、負けたくない気持ちは強いだろう。

そして尻無濱航

去年は、最後の最後まで先頭に立っていた尻無濱の手から、ファイナルへの切符がこぼれ落ちた。

岡崎の勝ちたい気持ちが勝ったと言われればそれまでだが、そんな気持ちはどちらも同じ。

たかが麻雀。されど麻雀。

場面によっては、たった1打の選択で人生が変わることもある。

まだまだ知名度の低い岡崎や尻無濱にとって、ビッグネームが出場し、多くの視聴者が見守るファイナルに出場するとしないでは大違いなのだ。

そんな舞台への道を阻んだ岡崎。

尻無濱は去年の因縁を晴らすためにも、今年は岡崎の後塵を拝する訳には行かない。

起家から藤島、猿川、岡崎、尻無濱の順で対局がスタート。

藤島の親番、テロップで実は離婚歴があるなんて、本人からしたら「大きなお世話」と言いたくなるような情報が流れているが、結婚式の2次会で乾杯の音頭を取ったのは私だ。

開局から猿川がダブルリーチチャンス、しかもドラ2。

あっさりドラを暗刻にしてリーチ、そしてあっさりツモって裏ドラも乗せて3000-6000。

ドラ暗刻だけに、大事にペンチャン待ちを外す手もあったが、即リーチを選択。

この後、テロップで「苦手なのは自分好きの人」なんて流れたのだが、猿川本人のことなのでは?と思ってしまうぐらい、さも当然のようにツモる姿が小憎らしい。(※個人の意見です)

次局は尻無濱が捌いて、東3局。

親の岡崎から「ポン」の声。

親でW【東】が出たから鳴きましたという、高さもスピード感もあまりない、なんてこともない仕掛け。

ところが状況は突如一変する。

藤島の暗カンにより、開かれたカンドラ表示牌がなんと【北】

つまり、親の岡崎がポンしている【東】がモロ乗りで、W【東】からW【東】ドラ3の親の満貫手に大化けしたのだ。

そして、藤島にもテンパイが入る。

親にカンドラをモロ乗りさせた責任を取りに行くなんて言えば聞こえがいいが、そんな責任なんて誰も取りたくない。

そもそも、そんなに責任感が強ければ離婚なんてしない。(※個人の意見です)

麻雀と離婚はあくまで自己都合、リーチ一盃口テンパネ、ツモって満貫クラスのテンパイなら致し方ない所はあると思うが、開かれた岡崎の手をずっと見ていた藤島の表情が気になった。

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