Mリーグドリーム、
永井孝典
文・中野巧【火曜担当ライター】2025年9月30日
永井は確実にMリーグによって人生が変わった。
風林火山オーディションでの優勝から約2か月後には東京へ引っ越していた。
自身のSNSでアップしていた寝袋とTシャツを枕にしたような、引っ越したての写真を見たときに親近感を持った。
それが今や麻雀界では知らない人はいない選手兼監督の亜樹に頭をなでられている(画面上で)。
永井はここまで1着、2着と上々なスタートといえる。
解説で同じ最高位戦の石橋伸洋も今日の永井を見て、「多少の緊張はしてそうだが、普段通り」といっているくらい、Mリーグの舞台に慣れてきた。
同じプロ雀士として羨望の存在である永井だが、彼の活躍はかなりうれしい。
等身大な彼だからこそ「あの場に自分がいたら」と想像をかき立てるからだ
(他のMリーガーは経歴をはじめ世界が違いすぎるため、遠い存在に感じてしまうのだ)。
永井を応援しつつも、麻雀シンギュラリティの異名を持つ渡辺太、魔神で最近パパとなった渋川難波、同じ団体で集計開始時点からリーグ戦の累計スコアが1位のHIRO柴田どこを見ても面白い試合になるだろうと、観戦記者だがファンとして試合を楽しんでいる自分がいた。

第1試合
東家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
南家:HIRO柴田(EARTH JETS)
西家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:永井孝典(EX風林火山)
東1局
3巡目に渋川から単騎のリーチが入る。

一発目、永井はイーシャンテンからを中抜きして撤退。

解説の石橋伸広が「危ないですよ」と一発で放銃してもおかしくない柴田の手牌はこちら。

ドラドラ赤でリーチに対して向かっていきたいところだが、当たり牌のが浮いてしまっている。
この状況、皆さんだと何を切るだろうか?
私はで一発放銃だ。

柴田はここからを切った。
自分のアガリを見たときに3枚切れのカンよりも
や
を重ねた方がアガリやすいと判断したのだろう。
ほかにもが3枚切れであること、河が
→
→
という数牌の選択がほとんどない点も理由として挙げられるだろう。
結果的に2巡後にが放たれ、裏ドラ3枚乗り8000点の失点となったが、一発で
を切ればハネ満となり12000点を失っていたのだ。

もしを残して、放銃を回避したうえでアガリ切ったら伝説になっただろう。
この積み重ねがいつかは伝説を生むに違いない、個人的にHIRO柴田は最注目の選手だ。
話を主役に戻そう。
東4局
ここまで守備的な打ちまわしをしていた永井。
渋川から先制リーチを受けてこの手牌。

ここからが場に3枚切られておりワンチャンスの
を切っていく。
その後も永井のプッシュは続き、、
をチーして目に見えてドラを3枚ある手もテンパイできずに流局。
両面待ちとはいえリーチのみの渋川、表情も心なしか追い詰められているようだ。

流局で迎えた南1局
6巡目で永井は一通の見えるイーシャンテンとなる。
1枚目のが上家の渋川から打たれるもスルー。
ここはトップを狙うなら満貫まで手を育てたい、そんな意思を感じた。

次の巡目でまたもや上家からが打たれると、永井の選択はチー。
ペン、一通ドラ1の2000点のテンパイを取った。
残り牌が3か2かは大差であるということや、1枚をスルーしているためそこまで手が高くないことを周りにアピールでき、いざとなったとき「永井には打ってもいいか」と思われることがあるのも理由だろう。

結果は永井の思惑通りとなる。
HIRO柴田の先制リーチの一発目、現物であるを渋川が打ち永井のアガリとなる。
トップ目からの直撃だ。