東城りお、
勝利の方程式は「攻め」
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2025年11月6日
レギュラーシーズンはすでに4分の1が終了。各チームのポイント差が徐々に開き始め、戦いは次のフェーズへと突入している。
麻雀は、リードしている側が有利なゲーム。逆に負けが込むと、トップを取らなければならない状況が続き、無理な攻めが増えて成績が安定しなくなる。だからこそ、序盤の失速は後半に大きく響く。
現在、赤坂ドリブンズは154.4ptで3位、BEAST Xは60.9ptで5位とボーダーを上回っているが、さらなる加点で上位を狙いたいところ。
一方、TEAM RAIDEN/雷電は▲85.8ptで6位、渋谷ABEMASは▲104.3ptで8位とファーストステージのボーダーラインを下回る位置に沈んでいる。
この一戦は、流れを変えたいチームにとってまさに正念場。
一つのトップが、チームの空気を変え、シーズンの行方を左右する。
焦りと覚悟が交錯する局面で、誰が一歩抜け出すのか注目の一戦だ。
第1試合
東家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:東城りお(BEAST X)
北家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
東1局
静かに始まった開局、だが東城の手牌は静かに燃えていた。
配牌からすでにイーシャンテン。
を引き入れた瞬間、誰もが「目一杯に構える」と思っただろう。だが、東城は違った。切ったのは
ではなく
。
この一打がすべてを変えた。
を残せば受け入れは広がる。だが、テンパイしても
・
のシャンポン。打点はなく、リーチの価値も薄い。ならば、萬子の一通かドラ
を引いての両面変化に賭ける。その未来を見据えた
切りだった。
引いたのは
。高目一通と
を使い切る打
で手牌はさらに前進。
赤ドラによる打点上昇が見込めるため、一通がなくてもピンフ・赤で十分に勝負できる形となった。
を引き入れて一通が確定してリーチ。待ちは![]()
、しかも山に4枚。
親の浅見も黙ってはいない。ドラ・赤・赤に456の三色が見えるイーシャンテンで、手応えは十分。
しかし、ツモったのは東城のアガリ牌である
。それをノータイムで場に放つ。
リーチ・ピンフ・一通・赤・裏。12000点。
だが、このアガリの真価は、点数だけでは語れない。
仮に
を先に切って
を残していたとしても、最終形は同じだったかもしれない。けれど、字牌の後に
を切り、そこから
切りでリーチとなれば、334の形が透けて見え、![]()
は警戒されやすい。結果として、出アガリ率は大きく下がってしまう。
今回、3巡目に
を先に切ったことで、その警戒が生まれず、
がすんなり場に出た。
この
切りには、東城の構想力と、勝負手を確実にものにするための「仕掛け」が込められていた。
東2局1本場
親の瀬戸熊が2000オールを決めた直後の1本場。
最初に失点している浅見は、配牌でドラの
がトイツ。第一ツモでペン
を引き入れ、2シャンテンに。失点を取り返すには、ここはぜひともものにしたい局面。
そこから浅見は
を引き、
は二度受け、しかも
が2枚切れという状況。だが、
を引ければ3面張にもなるため、![]()
・![]()
の両面二つを残し、![]()
を外す構えを取った。
一方、東城は
を引いてチートイツのイーシャンテン。ドラの
が浮いており、両面ターツも残る形。河には
が2枚切られてイーペーコーが確定している状況。ここで
を外してドラ
と
のくっつきを残せば索子の2~9が有効牌となるリャンシャンテンに構える選択もあったが、東城が選んだのはチートイツ狙いの
切り。
ドラ2の浅見が
を引き入れ、![]()
待ちでリーチ。
瀬戸熊も追い付いてリーチをかけ、場は2軒リーチの激しい攻防に。東城はその間に挟まれ、通る現物がない苦しい状況。そこで選んだのは、親の瀬戸熊の現物である
だった。
東城の放った
が浅見への放銃となり、リーチ・ピンフ・ドラ2・裏で8000は8300のアガリ。
失点を背負った浅見が、見事な立ち回りで一矢報いた一局だった。














