色を変える前のめり
──逢川恵夢の、
覚醒カメレオン──
文・小林正和【金曜担当ライター】2026年1月30日
どうしてだろう。
時々、うまくいっていないチームを応援したくなることがある。
子供の頃、父に連れて行ってもらったサッカー場。
キング・カズやラモス瑠偉が躍動する華やかなヴェルディ川崎よりも、泥臭く、必死に守り抜く浦和レッズの方に心が動いていた。
野球場なら、長嶋監督率いるスター揃いの巨人軍よりも、細かな繋ぎや足を使って食らいつく千葉ロッテを応援したくなる。
勝っているチームの強さはもちろん魅力的だ。
でも胸を掴んで離さなかったのは、「勝ちたいと必死になる姿」の方だったのかもしれない。
そして大人になった今。
観戦記という立場で特定のチームに肩入れはできない。
それでも、どうしても気になってしまうチームがある。
楽屋では平均年齢こそ少し高め。しかし、それを感じさせないほど明るく、まるで週末の仕事終わりに居酒屋で笑い合うような、あたたかな空気が漂っている。あの独特の雰囲気はいつ見ても心地がいい。
だが、その明るさと結果は必ずしも比例しないのが麻雀という競技。
エース格は苦しみ、噛み合わず、流れが悪い時間が続いていた。
それでも、誰かが変えなければいけない。
誰かが、このチームのカラーをそっと塗り替える必要がある。
環境に合わせて色を変える、チームのモチーフであるカメレオンのように。
苦しい時ほど、少しずつ前へ、前へと進んでいく。
子供の頃のスタジアムで感じた、胸のざわつき。
今日の試合は、その記憶を久しぶりに呼び起こした。
そして試合前。
監督があの選手にかけたひと言──
「前のめりに行ってこい!」
その声が、この試合のすべての始まりだった。
第2試合
東家:逢川恵夢(EARTH JETS)
南家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
軍師の選択──勝又健志の兵法──
この試合、優位に進めていたのは
チームポイント1,000pt超えのEX風林火山、勝又であった。
東1局1本場
を引いて早くもターツオーバーとなり、選択を迫られると
まるで字牌整理をするかのような、ペン
ターツ払いへ。
確かに、こうすることで
や
といった二次変化を拾いながら、自然と上の三色を追うことができる。それにしても、手牌アングルがすぐに切り替わってしまうくらいの判断スピードであった。
そして麻雀において、この手の一打が後々となって大きな意味を持つことがある。
自らの意志で残したペン
ターツをメンツとしてキャッチし、この局の先手を取ると
チームカラーの赤と緑がひときわ眩しい、火炎が立ち上がるような親・逢川のハネマンテンパイを
リーチ1,300点。
何事もなかったかのように鎮火していくのだ。
派手さはないかもしれない。
だが、ひとつひとつを冷静に淡々と、着実に処理していく。













