絶好調の瀬戸熊直樹。挑む相手は、自分自身【Mリーグ2026-27 観戦記 11/5 第1試合(麻雀ch)】担当記者 虫かご

絶好調の瀬戸熊直樹。
挑む相手は、自分自身

文・虫かご【木曜担当ライター】2026年11月5日

平日に働くサラリーマンにとっては、月曜からの疲れが、どんとのしかかる木曜日。
今日を乗り越えれば金曜日が待っているのだが、そこまでの道のりが遠い。
街を行き交うひとびとの顔は、まあ見られたものではないほど淀んでいる。

その集団の一員であるわたしだが、人知れず楽しみにしている瞬間がある。

15時に携帯電話を鳴らす、あれ。Mリーグ第一試合の先発予告だ。

今日だって、電車移動の最中に、ひとときだけ仕事を忘れて公式LINEにとびついた。

麻雀チャンネルに出場する選手の顔ぶれに、思わず口角が上がる。

第1試合

東家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:HIRO柴田(EARTH JETS)

そろいもそろって、今シーズンのMリーグで華々しい活躍を続ける選手が相まみえた。

チームトータル首位のサクラナイツからは、最多トップ賞レースで首位を走る岡田。
EARTH JETSからは、先日の華々しい国士無双で決めたトップを含め、個人4連勝中の柴田。
格闘倶楽部からは、個人13試合でトップ6回と、大黒柱としてチームを支える寿人。

岡田から順に、個人スコアランキングは2位、4位、6位。あまりにも豪華な顔ぶれだ。

そして、この3選手をも上回る圧倒的な成績を残しているのが、瀬戸熊である。

個人トータルポイントは445.1。チームランキング首位のサクラナイツに匹敵する数字を稼ぐ暴れっぷりだ。

そんな瀬戸熊、好調な選手がずらりとそろった卓組を見て、試合前にこう語ったという。

「自分の調子をはかるには、一番いい相手ですね」

ここまでは、個人として最高のシーズンを送っている瀬戸熊。
強者たちにも、その波は通用したのだろうか。

東3局。瀬戸熊の判断が光った。

配牌がこちら。大三元…… とはいかずとも、手の進め方によっては高打点も望めそうな、工夫しがいのある手が入った。

すぐに【6マン】を引き入れてイーシャンテンとなった瀬戸熊。
テンパイ時には【中】がでていきそうな手格好で、果たして【白】や【發】を積極的に鳴いていくのだろうか。

1段目が終わりにさしかかるころ、良形を求めてテンパイを外していた寿人から【白】が打たれた…… が、スルー。

続けざまに、岡田から【發】が出るが……、これもまたスルー。

この場面の思考について、瀬戸熊は【1ピン】【4ピン】のターツに自信がなかったと振り返っている。

場にはすでに【1ピン】が2枚。【白】、【發】を素早く鳴いて【1ピン】【4ピン】待ちのテンパイを入れるよりも、先にそのターツを埋めたうえでシャンポン待ちのリーチをかけたほうが、勝率が高いと見込んだのだ。

さらに口にしたのは、卓を囲む3者への評価だった。

試合後のインタビューで「小手先を使って勝てるような相手ではない。これで打ったら(放銃したら)悔いなしの形を取ろうと思っていた」と語った。

この言葉だけでも、瀬戸熊がいかに相手を軽んじず、そして自身のなかでしっかりと意志を固めて対局に臨んでいるかがうかがえる。

余計な雑音や喧噪に惑わされることなく、己が進むべき道をすっと選べる姿勢が、今季の好調を支えているのかもしれない。

その後、同じく理想形を追い求めていた寿人が、【4ソウ】【7ソウ】待ちのテンパイを入れて先制リーチをかける。

直後、瀬戸熊は最後の【發】を引き入れて【1ピン】【4ピン】待ちのテンパイを入れる。
【1ピン】は寿人の現物にもなっていたが、リーチに踏み切った。

これを、寿人が一発でつかんでしまう。

瀬戸熊が寿人を捉え、6400のアガリとなった。
理想通りのテンパイ形にはならなかったものの、しっかりとした準備と心構えに裏付けされた選択が、最終的に良いゴールへと結びつく。
やはり、瀬戸熊は今シーズンの主人公なのかもしれない。

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