誰もが2mと思ったオーラス
多井隆晴が見せた読みと胆力
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2026年11月5日
第1試合
東家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
南家:佐野ひなこ(セガサミーフェニックス)
西家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
北家:二階堂亜樹(EX風林火山)
東1局1本場
親番の多井にいきなり大きなチャンス手が入る。
ドラの
が暗刻。まだ愚形が残る3シャンテンではあるものの、タンヤオへの移行も十分に見込める好形だ。
そして次巡、
を引き入れる。
ドラ3・赤2。仕上がれば親の跳満18000まで見える大物手となった。親番で迎えた絶好の勝負手だけに、何としてもものにしたいところである。
佐野はリャンシャンテンから
、
、
の浮き牌にくっつけて5ブロック目を模索していたところへ
を引き入れ、イーシャンテンとなる。
この時点では5ブロック候補が揃っており、余剰牌を何に求めるかが焦点となる。安全度で見れば
は二筋にかかるぶんやや危険だが、
も決して安全牌ではない。
ならば比較すべきは将来の変化だ。
カン
という愚形を抱えているため、
を残せばドラ
引きによる三面張変化や、
で好形イーシャンテンへの発展が期待できる。一方で
を残した場合は
引きで受け入れ枚数が最大化され、
~
、
~
と広い受けが確保されるものの、打点が下がる可能性が高い。
佐野が選択したのは打
で、受け入れ最大の変化を優先した形だ。枚数差があるとはいえ、打点よりも受け入れい変化を重視した判断は興味深い。
さらに次の選択も印象的だった。
ここでは打
としてタンヤオを確定させ、縦引きによるテンパイ逃しを防ぐ形や、打
として678の三色が有力に見える。しかし佐野が選んだのは
のツモ切りだった。
手牌の方向性をタンヤオ・平和・一盃口に固定。索子部分が先に完成してテンパイした際に、
→
で放った方が、![]()
周辺よりも![]()
周辺への意識を向けさせる狙いも含まれているのだろうか。
そんな中、先制を果たしたのは園田だった。
絶好の
を引き入れ、三面張でリーチを宣言。高目なら678の三色もつく好形テンパイである。
そして、多井が一発目にツモってきたのは、その園田への当たり牌となる
。
親番でドラ3・赤2のイーシャンテン。しかも自身がドラを大量に抱えているケースでは、相対的に他家の打点は下がりやすい。まだ東1局という序盤であり、この手は間違いなく勝負手だ。多井は迷わず
を放った。
しかし結果は園田への放銃。
リーチ・一発・平和・タンヤオに裏ドラが乗り、8000は1本場で8300となった。
多井は勝負手の配牌を貰いながらもツモが噛み合わなかった。園田は終始スムーズな手牌進行で多井とは対照的な展開でアガリをものにした。
そして気になるのは佐野の選択である。
あえて切り順を逆転させるような進行には、周囲の読みをずらそうとする策士の一面なのか。そんな想像を掻き立てる序盤戦だった。
東4局2本場
園田から3900を直撃した亜樹がトップ目に立って迎えた東4局2本場。
亜樹は7巡目に両面ターツを2組抱えたイーシャンテンとなる。ここでドラのくっつきを待っていたドラ表示牌の
を切り、手牌の方向性を固めた。
そして次巡、一盃口が完成する
を引き入れ盤石のテンパイ。トップ目とはいえ、ここでさらに加点して後続を突き放したい場面だけに、迷いなくリーチを宣言した。
対する多井も1sを引き入れテンパイ。
は明確な危険牌で、待ちはカン
と良くない。しかし赤1枚にドラ1枚を抱え、リーチを打てば5200点。打点面では十分な魅力がある。
しかも自身はラス目。今後も同じようなチャンス手が巡ってくる保証はない。
期待値だけを見ればリーチが有力だが、その期待値は大きな加点と大きな失点を含めた平均値である。守備を選べば放銃のリスクは避けられ、ツモや流局による失点だけで済む。ラス目の立場なら、多少の振れ幅のリスクを受け入れてでも高い期待を追いたい。
熟慮の末、多井はリーチを宣言した。
すると今度は佐野に
が舞い込む。
赤・ドラを持ち、一盃口も視野に入るイーシャンテン。だが場にはすでに2軒リーチ。安全牌は
のみで、目一杯に構えた手牌だけに守備へ移行する選択肢はほとんど残されていない。
佐野もじっくりと考えた末、一発の多井に通っている
を切った。
安牌がないのであれば、自分都合で押し切る。そんな覚悟を感じさせる一打だった。












