さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第2回】
就職留年禁止 ピンチをチャンスにしろ!
就職氷河期以来、長引く不況の影響なのか、最近そんな声をひんぱんに聞くようになりました。
卒業予定だった大学生のなかには、ワザと単位を落として留年し、来年の新卒応募に勝負を賭けようという人たちもいるとか。
「甘い!」
と一喝するのは西原理恵子さん。
「ピンチはチャンスという言葉を知らんのか。この不況のなか、自分の才覚と度胸で稼ぎまくっている先輩たちはたくさんいるぞ。ウダウダ言わずにただちに働け。アルバイトでもいいから日銭を稼げ。自分のカネで晩メシを食え。酒を飲め。甘えるんじゃない!」
苦労人らしい西原さんのお言葉です。
「だいたいね、就職留年しようなんてヤツは、アルバイトもせずに親の金で学生やってるに決まってる。親であろうが、パートナーであろうが、他の誰であろうが、人の人生にタダ乗りするんじゃない!」
なるほど。
ぼくも、おおむね西原さんの意見に賛成ですが、ギャンブルライターの観点から少し述べさせてもらいます。
まず、留年する人たちに対して少し疑問に思うのは、来年就職状況が好転しているだろうという、根拠ない期待。
「買った株が暴落した。今売れば損が確定するけど、相場が戻ってから売れば損はしない」
というのと似てるんじゃないか。
好転の根拠はまったく無し。
逆にさらに悪くなるという確たる理由も無し。
つまり先のことは分からないと。
あるいは、
「ルーレットで赤に張ったら黒に負けてしまった。赤黒は同じ確率のハズだから、赤に張り続けてれば、やがて元が取れるのではないか」
さらに、
「赤に倍々プッシュで賭け続ければ、元だけではなく、儲けも出るに違いない」
とかね。
あ。
後半は、西原さんがギャンブルで負けている時の行動パターンだったりして。
西原さんの周りには、すばらしく優秀でユニークな、起業家や企業家がたくさんいます。
そういう人たちは一様に、
「やる気のある優秀な人材は、ノドから手が出るほど欲しい」
というそうです。
「かつて就職がラクな時代にラクな入社をした学生たちは、すでにその会社をほとんど去っている。今のピンチの時代をチャンスにした学生は、一生だいじょうぶだ。やる気を出して欲しい」
西原さん自身は、美術大学入学以前の予備校時代から、イラストの売り込みをして、自分で稼ぐ努力をしていたそうです。
「だって、絵を描いてゴハンが食べたかったんだもん」
それでもダメなら神頼み
自分のリスクを賭けて、リターンを求めるという意味では、ギャンブルは資本主義の象徴なのかもしれません。
西原さんが一時ハマってた、FX(外国為替証拠金取引)などは、レバレッジ100倍で、倍率ドン! さらに倍! て感じのまさに大バクチです。
FXを西原さんに奨めたのは、そのFX会社のぽんた社長。
西原さんの周りの、優れた起業家のひとりです。
「FX実体験漫画で、わが社の宣伝もひとつよろしくぽん」
ぼくはこの企画を西原さんから最初に聞いた時、はてな? と思ってしまいました。
「9割がた負けるだろうに、それで宣伝になるのかな? 逆効果じゃないか」って。
ぽんた社長も、もちろんそれは覚悟しての依頼です。
西原さんは予想どおり大敗し、ぽんた社長のFX会社も、西原さんの起用が裏目に出たのかどうかは分かりませんが、倒産してしまったんです。
2人とも独立独歩のリスクテイカーなんですね。
さて、ギャンブルや投資に、メンタル面で欠かせないのが神頼み。
つことで、いくつかありがたい神様仏様ブゥードゥー様をご紹介いたします。
まずは、宝くじ当選のご利益があるという、佐賀県の「宝当神社」。
末井さんは九州に行ったら、時どき立ち寄っているそうです。
ぼくが時どきお参りしてるのが、山手線の新大久保駅の近くにある「皆中稲荷神社」。
自転車通勤の寄り道です。
皆中とは百発百中、全部当たるという意味なので、宝くじはもちろん、パチンコやパチスロ、ルーレット(ロシア式除く)やバカラ、あるいは商売や西部劇のガンマンなどもご利益がありそうです。
ぼくたちが良くやる麻雀は、ちょっと疑問ですね。
切った牌が全部当たるのはイヤです。
あとタブーなのは飲食店、特にフグ屋なんかはダメそうですね。
鳥取の「金持神社」が大人気だそうですが、だいぶ前に東京郊外の「金持神社」を訪ねたことがあります。
トウモロコシ畑でやっと見つけた神社は、古いアパートのカビ臭い一室でした。
いちおう神棚があって、お札や古代米の赤米や黒米も売ってるんですが、どう見ても貧乏神社にしか見えませんでした。
「おとっつぁん、おかゆができたわよ~」
その後なくなったようなので、もしかしたら信州飯田の「貧乏神神社」に、引っ越ししたのかもしれません。(未確認)
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2010年6月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/
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