無くて七癖
有ったらいくつ?
「ヤマ、テンパイしてるんならリーチしろよ」
「ぎくっ」
昔、学生時代にバラ打ち(フリーの前身)をしてた時、麻雀の師匠のパクさんに指摘されました。
「お前は、テンパイするとツモ切りが早くなるクセがある」
「ぎくぎくっ」
ぼくの場合、ホンイツなどで鳴いている時でも、同じクセが出てると言う。
学生と言ってもすでに二十代後半。
パクさんは四十代の鬼瓦のような顔をした巨漢でしたが、見た目のわりには繊細な観察眼があったようです。
「ぼくのクセって他にありますかね?」
「企業秘密!」
ニヤニヤしながら教えてくれませんでした。
後から別ルートで聞いたところによると、
「ヤマは、裏スジ1本やマタギスジはリーチだが、キッチリとアイダ4軒になったらリーチしない」
と言ってたそうです。
当時の麻雀は、固定メンツが多かったので、今よりも人間観察が大事だったのかもしれません。
その当時の常連で、小さなエロ出版社に、亀井さん(仮名)という猫背の営業マンがいて、一晩で月給が飛ぶくらいのレートで打っていました。
仮名さんは(亀井)、弱い上に先ヅモする癖があった。
それ見ていた上家は、危険牌が余ると亀井さんが先ヅモするのを待ってから切っていた。
テンパイしてれば先ヅモしないだろうし、もし先ヅモすれば当たれないと。
グリグリ盲牌で先ヅモしたの確認して、上家が超危険牌を切る。
「ロン!」
実は空ヅモというトリックで、手の中は空っぽなのだ。
「卑怯者!」
どっちもどっちです。
弱い亀井さんがなぜ高レートで打てたかというと、実はこっちのほうがもっと卑怯だった。
小さな出版社というのは白夜書房の前身で、その当時自動販売機向けのエロ本で、大儲けをしていました。
白夜書房の末井昭さんいわく、
「儲かったね~。表も裏も表紙に見せかけた大き目の本を作って、それを2つに断裁して、表にしたり裏にしたりで、自販機にディスプレイして売った。
中身が確認できないので、同じ本を何冊も買った人も多かったと思うよ」
か、金返せ! あ、ウソです。
「ウチの亀井君には困った。自動販売機から集金した金を着服してたんだもん」
この当時の麻雀仲間はこんなのばっか。
パチンコ屋の店長で、億単位で抜いてた人物とかね。
ギャンブルを続けるのには、腕かお金が必要なのだ。
相手の癖も大事だけど
自分のも意識しよう
●雀士のクセで有名なのは、いわゆるテンパイ・タバコ。
最近はノン・スモーカーが増えているので減っているかも。
●おしゃべり好きな人が、急に無口になるとテンパイ率80%。
でもって、手が高かったりすると、タバコがプラスされてテンパイ率100%に。
●牌を持って来てから考えるタイプの人は、テンパイが近づくにつれて、少しだけツモの速度が遅くなる。
手が高くて複雑なチンイツの場合は、さらに速度が遅くなり、しかも遅くなるタイミングがずいぶん早い人がいます。
遅いのはしょうがないんですが、上家が牌を捨ててからすぐにツモらないのはダメ。
特に、手のうちがマンズなのに、上家がピンズやソーズを捨てた時に遅れるのは最悪。
悪気はなくても、手ジャミ(手の動作によるシャミセン・偽情報)の誤解を招いてしまいます。
●鳴きたい牌があるとキョロキョロする。先ヅモしない。
先ヅモしないのは元もとマナーとして定着してますが、鳴きたい場合はツモ牌に手を伸ばす動作が、わずかに遅れる・遅くなります。
下家がマンズが欲しそうな時に、わざとマンズの数字の部分が見えないようにして切る人もいます。
数字が見えるまで待つようなら、やっぱりマンズだと。
●「鳴きたい牌があると、鳴きたくない素ぶりをする人がいますよ」
他の人が捨てる牌をいつも良く見てる雀士が、見て見ないフリをする、ということでしょうか。
●すごく高い手が入ると、ソワソワするようになる。
ぼくも経験があるんですが、三アンコのテンパイから、雀頭がアンコになって、いきなり四アンコ・タンキの役マンになった時。
●ソワソワの一種だと思うんですが、急に頭を掻いたり身体を触りだす。
また昔話ですが、ある中年男性は、緊張すると頭を掻くのではなくて、指で押してました。
当時のカツラは、かなり使い勝手が悪かったようです。