熱論!Mリーグ【Fri】
「園田さん、強いって…
一体どんな気持ちですか?」
その男…蝶のように舞い、
蜂のように刺す!
文・阿部柊太朗【金曜担当ライター】2018年12月21日
モハメド・アリ、WBA統一世界ヘビー級チャンピオン。言わずと知れたボクシング界のスーパースターだ。
当時、重量級のパンチや打撃が主体であったヘビー級の中で、軽快なフットワークと鋭いジャブを武器にして、機動的なボクシングを展開した。
その様は
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
と形容され見るものを魅了した。
こちらは麻雀界のモハメド・アリことソノダ・ケン
この日も滝沢、松本、近藤といった麻雀界のヘビー級に対して、蝶のように舞い、蜂のように刺す機動的な麻雀を披露してくれた。
まずは東1局1本場、ドラがのこの手牌。
ソノダはドラターツに手をかける切り。
既に赤が1枚ある場合は、良形でリーチツモを狙いたいというのがソノダの基本思考。
滝沢にピンズが高く、マンズの下が安い。ドラ表示牌で場況の悪いペンと心中するよりは、や周りからの良形変化や場況のいいターツを残して進める方がアガリに近いという判断。
ソノダいわく
「ペンとペンでは体感2倍くらいアガリ率が違う」
という。
また、ペンが埋まれば無理のない手順で一気通貫も狙うことができる。
アガリ率に重きを置いたフットワークの軽い1打で蝶のように舞う。
場況がいいと言っていたマンズの下を狙い通りアンコにしてテンパイ。
しかし、カンではリーチといかずダマテンに構えた。
全員がソウズのを軸に手牌を構成していて、はほとんど山に残っていないと読んだのだろう。実際には1枚しか山に残っていなかった。
12巡目、を引いてカンに変化すると今度はリーチに踏み込んだ。
もともと愚形ドラ1は即リーチが基本。自信のないはダマテンに構えたが、情報のないはリーチをした方がマシという判断だろう。
驚くことに山に3枚も残っていたをツモって1,300・2,600のアガリ。
ドラ表示牌のペンと心中する手順ではテンパイすらしていなかった。
完全なオリジナル手順で、中打点のジャブを喰らわせ、蜂のように刺す。
アガって迎えた親番。ソノダはここから打を選択。
カンの場況が良く、ターツを振り替える必要がないという判断か。
はドラのくっつきも見込める牌だが、この手はどのみち中をポンして1,500点の手にする構想なので、安全牌として白は持っていたい。
軽快なフットワークで、相手との距離感を計っている。ソノダは相手との間合いの取り方が抜群に上手い。
東3局、789の三色なども見える手だが、ソノダの選択は打。
機動力の低いペンチャンを落としながら、タンヤオや良形変化を狙う。
をアンコにしてくっつきのイーシャンテン。
からは良形のテンパイは見込めないので、自風のを残して打。
そしてを引いて4連形&4連形の機動力の高い最強のイーシャンテンに。
を引き入れ滝沢のリーチに追っかけ。
一発で仕留めて裏も乗せ8,000点のアガリ。蜂のようにぶっ刺した。
南1局、ラス目の滝沢がを鳴いてドラドラ赤でマンガンのイーシャンテン。
これを受けたソノダは打、手を崩して防御に回る。
副露率が20%を切るラス目の滝沢の仕掛け、良形か高打点が予想されるところだ。
相手へのリスペクトも怠らないゆえに、こんな手牌からは絶対に放銃しない。
オーラス、アガればトップという局面でポンから入りバックの仕掛け。
瞬間は雀頭がなくなるものの、テンパイまでの距離はメンツを作る方が近い。