熱論!Mリーグ【Thu】
倒れるなら前のめり!
鳴いて運命に抗う
最速マーメイド・魚谷侑未
文・真中彰司【木曜担当ライター】2019年10月31日
麻雀とは、運要素の強いゲームだ。
あまりに不運が続いたときは、もはや順位が神のみぞ知る運命によって決められているのではないかと思う時さえある。
決して悪い待ちでは無かった。
思い切ってドラの受け入れを外し、
1枚切れだったでの満貫出アガリを期待してかけたリーチだった。
しかし、そのリーチは追っ手の海賊によって咎められることとなる。
個人2連勝中と、調子を上げていた矢先の放銃。
想定外の裏ドラ3枚で12000点。
コメント欄は「ずるごー」の声で埋め尽くされた。
「そういうの、私の十八番なんですけど…」
横で見ていたセレブ・黒沢のつぶやきが聞こえる。
「はい」
とハッキリ答え、淡々と点棒を渡す魚谷。
確かに痛い放銃だ。でも、まだ終わっちゃいない。
彼女は、息をひそめて自分の親番を待っていた。
だがしかし、不運というのは続きがちなもの。
意気込んだ親番だったが、その手牌はバラバラ。
それでも、逆転のルートを探して字牌を処理し、メンツを探していく。
一向に手がまとまらないうちに、またも追っ手の海賊がやってきた。
中張牌を満遍なく切っており、タンヤオには見えない河だ。
見えている役牌はと。とが絡んでいるのは読みやすいだろう。
そこに持ってきてしまった。
「もう魚谷の親番は終わったな…」
見ていた者は半ば諦め気味だったかもしれない。
しかし、視聴者は諦めても、魚谷は諦めていなかった。
4着という運命に抗うために、彼女は「チー」と力強く発声した。
だがしかし、は打たない。
テンパイしていない段階で打つ牌ではないからだ。
そして、通っていないを掴むと、すぐに現物のを抜いて降りた。
この時、ツモってから切るまでわずか0.5秒。
「結局降りるのだったら、鳴かなくても良かったじゃないか」
そう思う人もいるかもしれない。
それでも、ただ傍観して流局するのと、戦う姿勢を見せての流局は大違いだ。
南2局、ここで大物手を予感させるような手牌がやってくる。
門前でピンズに染めれば跳満まである。
その手でを引き入れ、より先にから打ち出す。
「私はピンズで戦います」という意思表示。
そして、目の前の河に出てきたのは、4枚目の。
それが出るなら話は別だ。