こうして真っ赤な顔をしたおじさんは、リードを守りきり
トップでゴールテープを切った。
私が紹介した3局は、派手なアガリではなく、むしろ地味な撤退のシーンだ。
しかし、この半荘の運命を決めたのは、間違いなく、東1局で手元に置いておいた、
たった1枚のである。
あのを残すために、村上は20年以上勉強してきたと言っても過言ではない。
考え込む村上に対し
「はよ切れ」
「プロなら先に決めておけよ」
というコメントが流れる。苦渋の撤退をする村上に対し
「オリすぎ」
「面白くない」
というコメントが流れる。
しかし、村上が手を止めるのはたまにのことだし、その瞬間に村上は膨大な情報を総合し、これまでの経験を活かし、そしてアウトプットしようとしているのだ。
遅いとコメントする暇があるなら、どうか一緒に村上はどんなことを考えているのかな?と想像してみてほしい。そして20年の結晶を紡ぎ出す村上の姿を目に焼き付けてほしい。
オリすぎ…と思う方は、今日みたいに1牌の守備ゴマが50pt以上の価値を生み出すこともあることを覚えていてほしい。
努力の人、と言ったが、20年間努力を続けること自体が才能だろう。
村上は努力する天才なのだ。
2戦目のたろうは、大荒れの展開の中、箱割れの絶体絶命から3着でフィニッシュすることができた。
ドリブンズの負債は、とうとう200ptを切った。
ちょっと前まで-500ptを超えていたことを考えると、大躍進と言える。
本日、ABEMASが不調だったため、セミファイナルのボーダーまで104.1ptと、本当に1半荘のトップラスで変わるところまできた。
ずっと「残り◯◯試合しかない」と言っていたのに、今はもう「まだ10試合もある」と思えてくるから不思議だ。
全チームが開幕から意識してきたXデーはすぐそこにきている。
オマケ①
2戦目の鈴木たろう。
多くの神プレイで箱ラスという窮地を脱出したが、私は敢えて疑問に思った場面を挙げたいと思う。
(内川は今チー打)
こので12000点に放銃したのが勿体なかったと感じる。
ダブをポンしている内川のチー出しは、全員に危険牌であり、関連牌濃厚と言える。
そのは4枚見えている。
つまりのマタギ(や)は無くなった。そう思ってを切ったのだと思うが、このはそこそこ危ない牌だと思う。
直前に内川の上家である松本がを通しており、、といった形が消去され、より上の牌、つまりやを持っていると想像できるからだ。
からのシャンポン待ちや、本譜のように
単騎も考えられる。
ただ内川の切ったは、好形変化の種として持っていただけのケースもあるし、テンパイが確定しているわけでもない。
そういうこともあって、たろうはを切る決断に至ったと思うのだが、じゃあたろうの手牌が勝負に見合う手だったのかは微妙なところだ。
たまたま放銃になったから悪く見えてしまうだけなのかもしれない。
たまたまたろうが不調なだけに、悪く見えてしまうだけなのかもしれない。
ただ1回戦の村上が繊細に守備を固めてトップを守りきっただけに、そしてこのあとにたろう自身も神がかり的にアガリまくるだけに、この放銃は少し不用意に感じた。
オマケ②
先日You Tubeを始めたと報告した。
YouTuberになってみて感じるのは、動画の時代が完全にきているということだ。
ここまで観戦記を読んでくれた皆さんからすると信じられないことかもしれないが、世の中には「動画なら見るけど、文章を読むのは嫌だ」と思っている人が、実はとてもたくさんいる。(動画で私を知った、という人が結構いた)
そして日本は今年から5Gの時代に突入する。
5Gについてはコチラ↓
これはMリーグにとっても追い風だろう。
通信制限のストレスがなく動画が楽しめるようになり、習慣的に動画を見る人が飽和状態になるまで増え続けることを考えると、同様にMリーグを視聴する人も爆発的に増えることが期待できる。
私も動画時代に向け、微力ながらも麻雀界を、そしてMリーグを盛り上げていけたらよいな、と思っている。
というわけでチャンネル登録をよろしくお願いします!
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」