そこへ沢崎が不要牌のを打つ。
仕掛けを多用するパイレーツ、遠くても鳴くと思ったが・・・
瑞原はこれをスルー!
その後、場風のを引き入れ、役牌トイツが3つになった。
これで攻めるも守るも自在、攻めればホンイツなどの手役を絡めた高打点も期待できるようになった。
瑞原は道中で、ネックのカンを鳴き、待ちのシャンポンテンパイまでたどり着く。
特には1枚切れで、他家がアガリに向かうなら打ち出さなければならない牌だ。
そしてをつかんでしまったのが白鳥。
瑞原のチーの際にあった間、その後の打ちからノーテンを読み切り、ピンズを払って押し返していったのは見事だったが、それが仇になってしまった。
もう少し巡目が遅ければ、あるいはもう少し手が整っていなければ、この放銃はなかったかもしれない。
瑞原がトップ目の白鳥から満貫を直取りし、いよいよ勝負の行方は分からなくなってきた。
南1局、ラス目で親番を迎えた瀬戸熊がリャンメンリーチ。
他3者としては非常に立ち向かいにくいが、沢崎は一発でつかんだロン牌を打たず丁寧にまわると、最後にを暗刻にし、1枚切れのを打ってテンパイを取りきった。
これが守備に回ってもギリギリまで手を崩さない、「マムシ」沢崎のしつこさだ。
瀬戸熊が1300は1400オールをツモって迎えた南1局2本場。
ここでもカンをチーした瀬戸熊に対し、打ち出されたをポンして前に出る。
残った形も良いので、親の現物として2枚を抱えるような守備的な選択はしない。
実はこの日の沢崎、試合前に自身のtwitterで「ビシバシモードの予定です(^_^)/」とツイートしている
https://twitter.com/sawazakimakoto/status/1241217092830945288
絵文字を使った投稿こそかわいらしいが、この人のビシバシモードが間違いなく半端じゃないのは、今シーズンのMリーグを見てきたファンのみなさんならよくお分かりのこはずだ。
沢崎はドラすらツモ切りしてきた瀬戸熊に対しても一歩も引かず立ち向かい、瀬戸熊から3900は4500を出アガリ。
沢崎らしい突破力で、接戦から半歩抜け出した。
その後はわずかな点棒移動を経て、試合は南4局へ。
トップ目は沢崎だが、瑞原、白鳥、そして瀬戸熊にも満貫ツモで逆転トップの可能性がある、微差での争いだ。
沢崎は点差だけを見ればノーテンを宣言できるが、下に現実的な条件があり、自身がある程度戦える形となれば、ここは「ビシバシモード」全開でアガリに向かう。
トイツを武器に、白鳥の第2打をカンチャンでチー。
さらにをポン、あっという間の2副露で満貫テンパイ。
の片アガリの形だが、これは他家にトイツで入っていない限りは打ち出されそうな牌だ。
しかしそこに割って入ってきたのが白鳥。
待ちは、ツモ・直撃ならその時点で、他から出ても裏ドラ1枚で逆転となる勝負手だ。
このとき、沢崎は着落ちも覚悟の上で、ほぼ全ての牌を勝負するつもりだったという。
最後は手詰まりとなった瀬戸熊が、のワンチャンスだったで白鳥に放銃。
役はリーチピンフイーペーコー、裏ドラが乗れば白鳥が逆転だったが、乗らず。
沢崎がリードを守り切り、セミファイナル2勝目を挙げた。
この試合では、卓内の点棒も、卓外のポイントも非常にシビアな状況の中で、各者がいつも以上に強気の選択をする場面が多かったと感じている。
やはりセミファイナルが中盤に差し掛かり、残り試合が少なくなる中で、悠長に構えている暇などないことを感じているのだろう。
その中で我を通し、全13局中4度のアガリを決めて試合を制した沢崎。
レギュラーシーズンの主役の一角を務めた「マムシ」は、さらに力強く、より厄介な存在として、他チームの前に立ちはだかりそうな予感がある。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。