熱論!Mリーグ【Sat】
意地と意地のぶつかり合い、
微差の勝利をたぐり寄せた
沢崎誠の”ビシバシモード”
文・東川亮/2020年3月21日
全12日間・各チーム8節16試合で行われる、「Mリーグ2019 朝日新聞セミファイナルシリーズ」。
3/16に始まったばかりかと思えば、あっというまに全日程の半分を消化しようとしている。
セミファイナルに入ってからは、レギュラーシーズン6位だったU-NEXT Piratesが躍進、セガサミーフェニックスは首位こそキープしているものの6戦ノートップとやや停滞気味で、ここにきてかなりの混戦模様となってきた。
残り10戦を切る中で、各チームともファイナル進出圏内の4位以内、そしてより有利な位置でセミファイナルを戦いたいという思いを抱いていることだろう。
レギュラーシーズン、各チームは大きく沈んだ赤坂ドリブンズやEX風林火山に対し、彼らをそのまま封じ込めようという麻雀を見せる場面があった。
それをそのまま、今度は自分たちがやられかねないからだ。
この日の第1回戦は、混戦を抜け出そう、あるいは減らしたポイントを取り戻そうという、選手たちの意地がぶつかり合う試合となった。
第1回戦
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
この試合、まず抜け出したのは白鳥だった。
東3局、親で真っすぐ手を作っていくと、8巡目に待ちのタンピン赤という申し分ない手に仕上げてリーチ、自らツモって4000オールを決めた。
しかしこの局、親リーチに対して果敢に挑んでいった者がいる。
セミファイナルで急浮上したパイレーツ、その糸口となるトップを決めた瑞原だ。
瑞原は白鳥のリーチに対し、カン待ちで追っかけリーチを敢行。
ピンズのリャンカン形で、も も現物なので、カン待ちとカン待ち、どちらのテンパイも取ることができた。
その場合、両者に対して無スジであるよりも、両者のスジとなっているの方が、手詰まった他家からの出アガリが期待できそうだ、という判断をしたか。
ともかく、このカン待ちは白鳥の切り出しからある程度ピンズの下を持っていると考えたとき、待ちとしては決していいものではない。
それでもためらわずにリーチを即決した姿からは、瑞原の戦う意思がビシビシと伝わってくる。
次局、白鳥は前局の勢いそのままに4巡目でカン待ちテンパイから即リーチ。
ドラドラ赤で、アガれば一気にこの試合を決められそうな手だ。
だが瑞原はここでもひるまない。
通っていない筋が多すぎるならばと、自分のアガリを見て打。
かなり強気な一打だ。
一度はのトイツ落としでまわった瀬戸熊もテンパイを入れ直し、
沢崎も無スジのプッシュを経てカン待ちテンパイを組むと、
これが待ちの3メンチャンに手変わったなら勝負だ。
一度手牌の右側で捨て牌をワンバウンドさせる、独特のモーションから繰り出される追っかけリーチ。
卓上で相手に懸かるプレッシャーは半端ではないだろう。
このリーチが実り、白鳥からを仕留めた。
打点こそリーチピンフの2000は2300と安いが、白鳥の親番、大物手を蹴るという意味では非常に価値のあるアガリだ。
東4局1本場は、瑞原がじっくりと構える麻雀を見せた。
瑞原の配牌は役牌の、自風のがトイツで、仕掛けていけば比較的アガれそうな形だ。