そのまさかである。
沢崎は現物のドラを切った。
おそらくこれは高宮のリーチだけでなく、松本の仕掛けをリスペクトしてのことだと思う。
松本はをチーする前に
というカンチャンターツを手出ししている。
赤含みのターツを払うということは、残る手牌は良形オンリー、もしくは打点狙いなら
相当手牌が整っていることが推測できる。
もう一度沢崎の視点に戻すと
だけならまだ押せるが、攻めるにあたってはテンパイしたときに出るやとセットで考えないといけない。2軒リーチに追いついて2牌とも通過してアガリ切る確率…を考えたら引く一手なのかもしれない。それにしても、あの縦横無尽の押しを見せる沢崎だけに、とても印象的なドラの切り撤退だった。
さて、この局は仕掛けた松本とリーチの高宮、どちらに軍配が上がったかというと…
沢崎だった。
しかも、茅森から。
何を言っているかわからないが、私も何が起きたのかわからなかった。
少しさかのぼってみよう。
をトイツ落とししたらすぐにテンパイしたのだ。
沢崎は一呼吸置いた。
あそこでさえ切っていれば一発ツモだった。
先ほどの局は放銃したから、自分のアガリ番じゃないかもしれない。
ドラのトイツを落としたリーチのみの手で、再度向かっていくことは許されるのだろうか。
そんなことを考えていたのかもしれない。
なんと勇ましい表情だろうか。
サクラナイツのファンは、そしてチームメイトは、この沢崎の腕から繰り出される奇跡に、何度救われてきたのだろう。
沢崎の成績
レギュラーシーズン +234.3
セミファイナル +179.2
今シーズンもいろんなことが起こったが、沢崎の活躍を語らずしては始まらない。
沢崎の活躍を反芻していると
「リーチ」
という低い声が卓上に響き渡った。
1枚勝負なら、と切り込んだのだ。
結果、手詰まった茅森からアガり、ウラウラで5200。
イヤらしい切り、そして緻密なオリから、残したを暗刻にしてのアガリ。
また1つ沢崎劇場の演目を見てしまった気分だ。
その後、沢崎のアガリはなかったが、ノートに記された注目ポイントだけを挙げていく。
東4局1本場。
ドラのをポンした親の沢崎。ここで切る牌はしかないように見えるが…
沢崎が切ったのはだった。
いやいやいやいや…わかる。意図は十分にわかるのだ。
まず①にくっつけてのホンイツ
マンガンでは飽き足らず、ツモ次第でのハネ満・倍満の芽を残す。
今シーズン、嫌と言うほど見てきた沢崎・大トップの源だ。
そして次に②色を絞らせないこと
ソウズを連打することで、マンズとピンズを打ちづらくさせる。
最終的にピンズを余らせてマンズで打ち取る…など、パターンも豊富だ。
あとはチャンタも狙いにあったのだろう。
この手牌の肝は役牌であり、もうこの役牌は鳴けないものと考えてどうせ鳴けないのであらばチャンタやホンイツをつけて跳満を目指そう…という意図だと思う。
わかる。そういう意図は理解できるのだが、それにしても絶対に外せない親のドラポンで、リャンメンターツを払っていくことはできるだろうか?私なら裏目が怖くて外せない。
この局は周りにがっつり絞られて、茅森のマンガンツモ。
南3局。
沢崎はこの手牌で打。