リーチだ。
はあまりいい待ちとも言えないが、それでも親リーチの抑え付けの強さには敵わないといったところか。
ところで仮に素直に手を進めていたとしたらここかその前巡で
切りの放銃に回っていたであろう。一見不可思議な先切りが、放銃回避の結果をもたらしてくれていた。場に高い色を嫌う一つに利点であろう。
仕掛けた近藤が現物で回ろうと切った一向聴維持のが……
またしても石橋に放銃。
なんとこれでフェニックスとパイレーツの差が0.6pt、わずか600点の差となる。
まさに天下分け目の戦い、熾烈な半荘はついにオーラスを迎える。
【南4局】
最初にテンパイを入れたのは白鳥。
七対子赤赤の出アガリ6400、ツモってマンガン。ABEMASとしてはこの手を内川以外からアガればかなり条件を緩和して最終戦を迎えることができる。内川から見逃すことを含みに入れたダマテンだ。
しかしそこに追いついたのは内川。親リーチで少しでも場を長引かせようとする。
それを受けての近藤。手の内に安全牌は一枚しかない。
宣言牌の一つ前の手出しが
というのが少し怖いが……
を打ち抜いていった。ソウズの上を持っていたとしても本命はの形。いくらリャンシャンテンとはいえまっすぐ行ってもいい牌のように思えたが……
これが内川に捕まる。リーチ・一発・ドラの7700の放銃になる。
近藤激痛の放銃かと思えたが、実は一番激痛なのは白鳥だ。
これで内川が着順上昇、結果白鳥の着順が落ちたため、瞬間ABEMASは順位点の差20000点分の損をしたのだ。
どのみちフェニックスは最終戦、パイレーツとの着順争い。20pt差以内に収めればあまり条件に変わりない。ABEMASが少し首位から離される結果となった。
とはいえ親のアガリでオーラスは続く。再逆転できれば言うことなしだ。
【南4局1本場】
内川が
ポン、
ポンのここから……
ホンイツに向かう。トップのため、そして奇跡の逆転優勝のためには2900級をアガっている場合ではない。まだサクラナイツには自分のため、ファンのために見せるべき姿があるのだ。
残した
と
は……
石橋に対子。これはホンイツ移行がうまく手牌進行を遅らせたかと思いきや……
あっさり七対子のテンパイ。1600は誰からアガっても今の着順のまま終わらせることができる。守備力も高く、まさに願ってもないテンパイだ。
これを内川から捉えてこの半荘ゲームセット。
終始石橋の強さが見えた半荘であった。チームとしても石橋としてもまさに渾身のトップ。ここでしか使いどころがないというくらい見事な笑顔とガッツポーズにもそれが現れている。
これで残すは最終戦のみ。
パイレーツとフェニックスはABEMASに捲くられなければどちらか着順が上の方が優勝。ABEMASはトップ獲得かつパイレーツと15700点/フェニックスと7700点差をつけられれば優勝。3チームに現実的な優勝条件が残った。
いよいよ優勝の行方はわからない。最終半荘登板の選手にすべてが委ねられた。
Mリーグ2019
振り返ってみれば、春風と共にやってきた桜の嵐に波乱の予感を感じさせる序盤だった。
今年も麻雀というゲームを象徴するかのように数々の伝説が生まれた。
驚異的な成績を残した選手もいれば、
自らについた二つ名を体現する奇跡を起こした選手もいた。
チームのために、自らの身を切るような選択に飛び込む選手もいた。
ファンのため、チームのために意地とプライドを見せたとでも言うべき試合があった。
まさかの大逆転も一度や二度ではない。
麻雀以外でもファンが喜ぶ出来事があった。
まさかの事態もあった。
それら全ての上に成り立った、最後の半荘。面白くないはずがない。
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