その手は最後のを掴み取った。
2000-4000の1本場のツモアガリで、微差ながら岩瀬がトップ目に立った。
岩瀬がリードを広げて迎えた南2局1本場。
7巡目、河野の手の内でドラがトイツになる。
仕上げれば一気にトップも見えるチャンス手になった。
そしてさらに勝負手模様になっていたのが、ここまでアガリがなく、一人置いていかれている形となっている大庭。
第一ツモの段階ではわずが3枚だったピンズが続々と押し寄せ、一色手が色濃く見えている形だ。
アガリがないとはいえ放銃もしておらず、チンイツまで手を育ててアガれれば一気に優勝争いに食い込むことも可能。
だから、河野が打ったなど喉から手が出るほどほしかったはずだ。
しかし、大庭は動かない。
門前でどっしりと構えて手を育てようとする。
局が終盤に差し掛かる12巡目、上家の河野が打。
これも急所の一つ、鳴けば好形のイーシャンテンになるが・・・
鳴かない。
聞けば、「配牌からピンズの伸びが良かったので、ツモ山を信じて門前にこだわった」という。
この男、どこまでも愚直だ。
一方で、追撃したい三浦も苦しんでいた。
テンパイまでは迫っていたものの、ネックとなるドラのペン受けがなかなか解消されない。
9巡目に選択を迫られ、タンヤオも見てを払うと・・・
次巡、三浦をあざ笑うかのように引き。
麻雀あるあるとはいえ、この裏目は苦しい。
さらにこのを切ったところ、岩瀬に鳴かれてしまう。
岩瀬はこれで、で三色片アガリのテンパイ。
場がどんどん煮詰まっていく。
14巡目、ドラドラでついにテンパイを入れた河野が、カン待ちでリーチ。
さすがにリーチが来れば大庭もこれ以上待ってはいられない。
宣言牌のを鳴いて手を進める。
そして、一度は裏目を引いていた三浦はその後のツモが効き、何と高目三色のテンパイにまでこぎ着けていた。
満貫以上が色濃く見える勝負手、迷わずリーチをぶつけると・・・
三浦が高目を一発ツモ!
このアガリで、三浦が再びトップ目に浮上。
しかも2着目の岩瀬の親を落とすという、最高の結果となった。
南3局は岩瀬、大庭、河野の3者がリーチで激突するも、勝ったのは大庭。
高目のダブをツモアガリ、2000-4000で逆転に一縷の望みをつなぐ。
一方で岩瀬・河野の二人はかなり条件が厳しくなった。
最終局、三浦はA卓戦では自ら仕掛けて前に出て、勝利を掴みとっている。
ここでも同様にアグレッシブに仕掛け、2副露で一気にテンパイ。
ハネ満直撃、倍満ツモ条件の岩瀬もピンフジュンチャン三色でわずかながら可能性の見える手牌になるが、急所中の急所であるカンを三浦にポンされており、苦しい。
真っすぐテンパイにたどり着きたい大庭にとって、は不要牌。
ツモ切られた牌にかけられた三浦の「ロン」の声が、この戦いの勝者を決めた。