決勝戦では、全11局で一度も流局がなかった。
これは全員がガチンコ勝負でぶつかり合い、頂点へのチケットを掴み取りに行ったことの、一つの証と言えるだろう。
4位に終わった河野。
着順こそラスだが、切れ味鋭い仕掛けで手にした数々のアガリは、決勝の舞台でも確かに輝きを放っていた。
堂々たる戦いぶりには、解説席でこの一戦を見守った萩原聖人も、自身の見る目が間違っていなかったことを確信できたはずだ。
3位の岩瀬はインタビューを終え、涙を流していたのだろうか。
彼が推薦者である小林剛から学んだ最も重要なことは、仕掛けの巧みさや守備力、動じぬ精神でもなく、最後まで勝利を目指して戦い続ける姿勢だ。
偉大な先輩が究極の一戦で見せたその姿を、彼は全身全霊をかけて体現しようとしていた。
惜しくも2位に終わった大庭。
パフォーマンスは「自分を追い込むためにやった、負けないという気持ちの表れ」だったそうだ。
賛否両論あるだろうが、彼の見せたパフォーマンスは「記憶に残る」という点において、プロとして一つ仕事をしたと言える。
決勝で見せたギリギリまで構えて高打点を追い続ける麻雀も、彼が尊敬する瀬戸熊直樹を彷彿とさせるものだった。
そして、見事優勝してファイナルへのチケットを勝ち取った三浦。
数多くの実戦、そして「スパルタ会」という、その名の通りスパルタ指導が行われる勉強会で腕を磨いてきた男は、攻守両面において高いレベルでまとまった麻雀を見せてくれた。
決勝を「相手が強くて、めちゃくちゃ楽しかった」と振り返っており、この大舞台を楽しむ余裕を持てていたのも、勝因だったか。
運が大きく作用する一発勝負で二度の一発ツモという僥倖に恵まれたのは、彼が勝ち運を手にするだけの麻雀を打っていたからに他ならない。
彼の推薦者である荒正義が、なぜレジェンドと呼ばれているのか。
それは荒が勝ち続け、チャンスをものにし続けてきたからだ。
ならば三浦がこの先成すべきことはただ一つ。
勝て。
勝って自身の名を最強位として刻み込め。
三浦プロ、本当におめでとうございます!
ファイナルでの活躍を期待しています。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。