そして何よりも、その情報整理が遅かった。
「切るのが遅い」
コメントの確認はしてないが、言われてないはずがない。
見直した自分でもちょっと長いなと感じたのだから。
その時は全く意識してなかったが、終わった今考えるとなんと申し訳ないことだろう。
判断スピードや決断力もプロには必要な力だ。
単に強かったり技術が高い人ならいくらでもいるだろう。
何より視聴者の方がいてこそ、という点で浅慮だったのではないか。
考えるゲームとはいえ、長過ぎたかもしれない。
そもそもオリた選択自体も合っているのかわからない。
まさに猛省すべき一局となった。
大庭ペン待ち
櫛田ペン待ち
しかしここで現代の最大の利点に感謝した。映像として残っている。
見てもらって質問すればいいんだ。
「押すね」
現雀王からの3文字に凍り付いた。
あぁ、やってしまった・・・。
狼狽する自分をよそに続けられた説明は、優しくも真剣で、なにより的確だった。
「上家が絶対テンパイというわけでもないし打点も幅が低い側で狭い。まだ東場だし、流局でも放銃でも大きく影響しないだろう。局収支だけで考えていいと思う。」
もちろんこれが回答の全てではないが、要点は以上だった。
「大事なところで考えるのは当たり前なんだから、長考は気にしなくていい」
そんな細かい気遣いまでしてくれた。
堀プロに感謝しつつ、あらためて思考と気持ちの整理が甘かったと再認識した。
大事なここ一番で、放銃の恐怖に負けてしまったんだ――
そのあとの展開はご存じの方もいるでしょう。
アガれば通過のテンパイを3回も空振り、私の最強戦のABEMAデビュー戦は幕を閉じた。
先のテンパイ料が響いた局もある。
「ツイてなかったね」と言ってくれる優しい人もいるが、そんなことはない。
むしろ手材料は恵まれていたし、捌ききれなかった私が未熟なだけの話だ。
私自身は敗北に納得しているし、通過した岩瀬プロと大庭プロが見事だった。
ともに敗退した櫛田プロは卓内で1番落ち着いて打っていた。
麻雀プロ7年目にしてこの大舞台の経験は、早いのか遅いのか。
今回のことで1つだけ言えるのは、大舞台の場慣れは大舞台でしかできないということだ。
私の場合は数こそ多くはないが、決勝経験も何度かあるし選手や解説として配信卓に出ることもある。
それでもまだ圧倒的に足りない。
場数を踏むことの大切さ、しかしチャンスは限られている。
だからこそ日頃から麻雀と向き合って、大舞台へのチケットを掴む準備や心構えが必要なんだなと痛感した。
悲しい話ばかりで終わるのもイヤなので、最後にあらためて。
まず推薦してくれた堀慎吾プロ。
せっかくチャンスを与えてくれたのに、不甲斐ない結果に終わってしまいすみません。
しかし何より、貴重な経験をさせていただいたことに心から感謝しています。
あと応援ビデオの推薦理由も、私にプレッシャーを感じてほしくないという優しさだと信じています。
そしてご視聴いただいた皆様、こんな私を応援してくれた皆様、竹書房の皆様、出演者の皆様、放送の運営の方々、この反省の場を与えてくれた麻雀最強戦実行委員長の金本さんにあらためて心から感謝いたします。
またいつかあの舞台に戻った時、少しは成長した姿をお見せできるよう精進することを約束します。
本当にありがとうございました。