今季の雷電は面白いんです!
積年の感情を爆発させた
オーラスの逆転劇
文・ZERO【火曜担当ライター】2021年10月5日
■孤独のリングへ立ち向かう戦士たち
激動のオフシーズンだった。
風林火山オーディションやドラフトも大きく話題になったが、その前に前原・藤崎・和久津の3選手による契約満了の発表が激動の始まりになった。
大きな衝撃はファン間だけでなく、選手間にも走ったはずだ。
「成績を残せなかったら切られてしまう」
いつしかこうなるとわかっていたことだが、4年目にして初めてMリーグの舞台を去るものがでてきたのだ。
Mリーグはチーム戦である。とは言うものの、実際に卓に付いたら誰も助け合うことはできない。仲間の顔すら見ることはできない。信じられるのは己の経験のみ。
そういう意味では個人戦の意味合いも存在するのだ。
そして「成績を残せなかったら切られてしまう」という認識が深まった今、個人戦の意味合いはより濃くなっていく。むろんチームの勝利が第一だが、それも自分が生き残ってこそ。
各選手たちは、控室でハイタッチして見送られた後、今一度気合を入れ直すだろう。
卓上という名の孤独のリングで生き残るために。
Mリーグ2021、開幕。
■最高の船出
小林が最高の船出を決めた。
起家で始まった小林は
茅森からピンフ・三色・ドラ3の18000をアガる。
さらに親が落ちた後の東3局、返す刀で
リーチ・一発・ツモ・ドラ1の2000・4000。
トップ目・愚形ドラ1ではリーチにいきづらいところだが、開局の18000だけではトップを守りきれないケースが多く、どこかで二の矢を放ちたい。
そんな場面での満貫ツモはかなり手応えがあったはずだ。
さきほど契約満了の話をしたが、そういう意味では小林が率いるPiratesが一番崖っぷちである。昨シーズン、Mリーグは次のような発表をした。
連続で5位以下となると、強制的に選手の入れ替えをしなければならないというルールで、今季そのルールに抵触するのはPiratesだけなのである。(他の3チームは既に入れ替えしている)
Piratesのメンバーたちは「特に意識することはない、全力を尽くすだけ」とは言っているものの、船長の指揮による最高の船出にほっと胸をなでおろしたのではないだろうか。
■逆襲の滝沢
その小林に待ったをかけたのが滝沢だった。
新たなユニフォームに身を包む滝沢が動いたのは南2局。
なんてことない手牌だが、対面の親・茅森から2巡目リーチが入っている。
そして、ここに打ち込めばラスがくっきりと見えてしまう。
渋川「これはを切るでしょうね」
憑依型解説者の渋川も安全度の高い字牌のトイツ落としを予想する。
しかし滝沢がスッと打ち出したのは…
だった。
渋川「おっ?」
さらに絶好のをツモってをプッシュ。↓
さらにさらにもノータイムツモ切り。↓
次にツモってきたのがだった。↓
渋川「ここでですかね。そろそろ」
ビシィ!
滝沢、無筋4種類目の押し。
渋川「うわぉ! いく! めちゃめちゃいく!」
完全な安牌がなく、自分の手牌は形がいい。茅森のリーチは愚形の可能性もある。
文字にすれば簡単で普通の押しに見える。