このアガリで、仲田、岡田が少し抜け出した形となった。
南3局では、仲田が字一色まで見える牌姿からホンイツ・トイトイという破壊力抜群のハネ満テンパイを入れると
「麻雀ラリアット」の餌食になったのは田渕。
自風のを残せばタンヤオもピンフも消える上、勝ち上がりのためにはある程度の打点もほしい状況とあっては、切らざるを得なかった。
オーラス、仲田がをポンしてカン待ちテンパイ。
トップ目、放銃せず局が終われば通過の仲田が仕掛けて手を狭めたということは、ほぼ間違いなくテンパイ。
その意図をくみ取った2位の岡田がきっちり差し込み、試合を終わらせた。
4位に終わった田渕。
結果としては敗れたものの、積極果敢な麻雀で見せ場を作った。
自身を「クズ」と称してはいるが、少なくとも麻雀に関しては非常に真摯な打ち手であることは間違いないだろう。
麻雀最強戦の舞台を経験し、これから打ち手としてどのように成長していくのかも興味深い。
3位の和泉。
よく仕掛けた田渕とは対照的に、異名さながらの冷静さでじっくりと機をうかがい続けた。
しかし、手が入らなければどうしようもない。
本人曰く「来年いろいろなことが良くなる予定」。
来年と言わず、今後のさらなる活躍を期待したい。
2位で勝ち抜けた岡田。
全10局中5局でリーチを打ち、最後まで戦う姿勢を見せ続けた。
決勝は1位のみが価値のある戦い。
アフロディーテは最後までファイティングポーズを崩さず、美しく戦い抜いてくれることだろう。
1位で勝ち上がった仲田。
序盤にあっさりリードを奪うと、そのあとのゲーム回しについてはさすがにこれまで多くのタイトルを勝ち取ってきただけの安定感と風格があった。
異名からは攻撃をイメージするが、守備や対応も非常に繊細。
硬軟織り交ぜた戦いぶりを、決勝でも期待したい。
四者四様の個性のぶつかり合いとなったB卓。
中でも特に仲田、岡田、和泉の3名については入場から「求められているものを遂行する」というプロ意識の高さが感じられた。
放送対局、露出の場が増える中で、麻雀プロには「見られている」ことを意識する必要も出てくるだろう。
ただ、それも麻雀の実力があってこそ。
雀力、そして雀力以外のアピール力も兼ね備えた、強く個性的な麻雀プロに数多く登場してほしいと、この対戦を見て改めて感じた次第である。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。