卓上を魅了した
原浩明の支配力と
天才・堀慎吾の多彩な仕掛け
【A卓】担当記者:山﨑和也 2020年8月2日(日)
今回は麻雀最強戦「タイトルホルダー頂上決戦」予選A卓の模様をお送りする。先週の興奮から早くも1週間が経った。今回もまた珠玉のメンバーが揃っており、改めて麻雀最強戦はオールスターを思わせる大会である。
選手の紹介に移ろう。
麻雀忍者 藤崎智(日本プロ麻雀連盟)
現鳳凰位。Mリーグでもおなじみの「忍者」こと藤崎が登場。ひっそりとヤミテンに構えて獲物を仕留めるスタイルが特徴だ。
リーヅモ親方 坂本大志(日本プロ麻雀協会)
現最高位。新型コロナウィルスにかかってしまった影響か、前回大会と比べるとずいぶんとスリムになられた印象だった。今大会は思いをぶつける絶好の機会。挽回なるか。
小さな天才 堀慎吾(日本プロ麻雀協会)
現雀王。いま一番ノっているプロといっても過言ではないだろう。今年のMリーグドラフトではKADOKAWAサクラナイツから唯一の指名を受けた。
ザ・ルーラー 原浩明(麻将連合)
現将王。56歳のベテランが出陣。第11期麻雀最強戦では決勝メンバーに残った実績がある。ルーラーの名のごとく、場を支配できるか。
各団体のトップたちが集結。団体を背負っているということもあり、期待と重圧は相当あったに違いない。誰が勝ち取るか。
今回の解説席には鈴木大介現麻雀最強位が登場。いやはや、将棋の解説のときより流暢に話しているように見え……えふんえふん。怒られそうなので宣伝を。竹書房から鈴木大介最強位と梶本琢程プロ共著の『麻雀強者の流儀』が8月3日、本日に発売される。鈴木最強位の強さはどこか謎めいたものがあり、間違いなく手に取る価値のある本だと思っている。
それでは対局の模様に移りたい。
東1局から。
まず動いたのは堀。
カンを鳴いて打とし、1000点のテンパイを取る。
坂本は123の三色が見える手。チャンス手だったがここでが捕まった。
さくっと堀が局を流すことに成功。まずは平穏な立ち上がりを見せる。
東2局。
大物手の香りが漂う手をもらった原。
藤崎から出たをチーせず、門前で進めていく。
はドラなので、鳴いたとしてもそう簡単に出る牌ではない。
自力でを引いて待ちのテンパイ。惚れ惚れするようなメンホンが完成した。ここはリーチをせずに切り。この判断に鈴木最強位は「これは……難しいです。こんなにいい手来たことないのでわからないです」とジョークを飛ばしたが、実際悩ましいようだ。を外す手順が難しいため、これが完成形と見てリーチも有力だったか。
坂本は二盃口のイーシャンテン。しかし手にしてきたをツモ切った。が既に2枚河に出ていたのもその要因だったか。七対子イーシャンテンでアガりを狙う。
同じく七対子のイーシャンテンだったのは藤崎だ。それもドラを2枚抱えている。当然やる気満々だったことだろう。
そこへ堀も割って入った。をポンして打。元々七対子のイーシャンテンだったが対々和に向かった。
藤崎が原に追いつく。かのどっちを切るか。は2枚切れの地獄待ち、は原が直前に切った牌。少し時間を置いて待ちに取った。
原は依然として待ちを継続。河を見ていただきたい。あまり混一色(それも門前である)には見えない河なのだ。
さしもの坂本もこれは止められず。を掴んでの放銃となった。
混一色一盃口の8000点を得て原がリードを奪う。2着以上が勝ち抜けの条件でこれは大きな収入だ。
東3局と移る。