『タキヒサ』ならぬ『タキバシ』決戦! いにしえの役満を決めた滝沢和典と、勝利への執念を見せた石橋伸洋【Mリーグ2020観戦記10/26】担当記者:東川亮

そこからpastedGraphic_27.pngチーでpastedGraphic_14.pngのみでアガれるpastedGraphic_12.pngpastedGraphic_14.png待ちテンパイを組み、さらにもう一つpastedGraphic_27.pngをチーしてpastedGraphic_13.pngpastedGraphic_39.pngのシャンポン待ちテンパイと、猛然と前に出る。

そこへ滝沢もリーチ!

勝負どころ、打牌に力も入る。

こうなればめくり合いだ。

 

勝ったのは石橋!

もぎ取ったと言わんばかりのpastedGraphic_39.pngでこの試合3回目の満貫ツモを決め、リーチ棒を出した滝沢を逆転してトップ目に立った。

この試合初の親連荘で迎えた南4局1本場

 

石橋の手は配牌で赤含みの3メンツ、滝沢の手はpastedGraphic_19.pngにドラpastedGraphic_53.pngもトイツとなり、どちらも勝負したい形になった。

先に動いたのは滝沢、をポン。

石橋も仕掛けてテンパイへと向かうが、滝沢はさらにpastedGraphic_53.pngを重ね、9巡目で先にテンパイへとたどり着く。

pastedGraphic_56.pngpastedGraphic_57.pngの手出しからpastedGraphic_19.pngポンの打pastedGraphic_35.pngと愚形を処理、そこから手出しpastedGraphic_14.pngということで、恐らく石橋も滝沢のテンパイを察しただろう。

そして、条件をクリアしていることも。

石橋、ツモpastedGraphic_59.png

浮いているpastedGraphic_13.pngは滝沢のロン牌だ。

滝沢の最終手出しpastedGraphic_14.pngを見れば、pastedGraphic_14.pngが関連牌だった、つまりその周りが危険というのは百も承知のはず。

 

少考し場を見渡して、石橋はpastedGraphic_62.pngを切った。

筆者はpastedGraphic_13.pngpastedGraphic_27.pngを止めきってテンパイを入れ返そうという石橋の粘りを見た気がした。

しかし次巡、さらに驚かされる。

こちらも見えていないpastedGraphic_64.pngを引くと、pastedGraphic_39.pngを抜いて手を崩したのだ。

確かに放銃をすればほぼ間違いなく逆転だし、この手を押してアガりきったところで2900は3200が関の山、滝沢の逆転条件はまだまだ残ってしまう。

石橋はそうした状況を冷静に見定めていたのだろう、自身のアガリは完全に見切り、一か八かをしなかった。

確かに、寿人や萩原がアガる分にはかなりのパターンでトップ。

流局し、滝沢と誰かの2人テンパイなら同点トップで、失う順位点は20ポイントで済む。

(※同点の場合、順位点は1位50pと2位10pを合計し、30pずつ等分)

結果は滝沢が満貫ツモで逆転トップを決めた。

しかし個人的には、強引な仕掛けや再三にわたってツモに力が入るなど勝利への執念をあらわにしていた石橋が、最後の最後に撤退という選択をしたことが強く印象に残った。

トップを取るために必要なのは、がむしゃらにアガリに行くことだけではない。

考え得る最善のルートでしたたかに勝利を目指す姿からは、ファンから「キング」と呼ばれる男の凄みが感じられた。

解説の多井隆晴渋谷ABEMAS)が「プロフェッショナルディフェンス」と褒めたたえていたように、これは称賛されるべきプレーだったと思う。

滝沢の最後のアガリを見ながら点数申告を聞き、石橋は一つ、うなずいた。

もちろんトップは欲しかったはずだが、自身の読みや決断が間違っていなかったことに、手応えもあったのではないだろうか。

第2回戦は全9局、流局1回と比較的スピーディーだったが、滝沢が満貫、ハネ満、倍満をツモ、石橋が満貫を3回ツモるという、二人が高打点でたたき合う激しい展開だった。

非常に見応えがあったからこそ、その「後」のことについても少しだけ触れておきたい。

今シーズンからは、試合後インタビューに勝利者以外の選手も登場するようになった。

ここまでは4着に終わった選手が出るのが大半だが、もし可能なのであれば、勝たなくとも見せ場を作った選手、印象的な一打を見せた選手に出てもらいたいと強く思う。

たとえばこの日のインタビューは初戦が石橋、2戦目が萩原と、いずれも4着に終わった選手が登場したが、2戦目こそ石橋の声を聞きたかったという人は多かったはずだ。

麻雀では何もできず負けるという展開もよくある中で、4着では話す側としても話しにくいところがあるだろう。

インタビュイー(取材される側)の選定について一考願いたい旨を記し、この原稿を締めくくらせていただく。

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