もちろん他の牌を打ってテンパイを崩すことは可能だが、現状ラス目であり、親番を落とせば逆転は難しくなる。
萩原の選択は打。
滝沢は3副露目の際にを切っており、が放銃になるときは単騎かシャンポン待ち。
トイトイが絡んでハネ満が十分あり得る。
一方、で放銃する分にはドラが絡まない限り高くて満貫。
勝負するなら安く済む方で、ということだろう。
これで滝沢と萩原は同じ待ちでテンパイ。
そして萩原は、シャンポン待ちとしては同じく危険牌であるはノータイムで押した。
のシャンポン待ちというのも考えられそうだが、ここは腹をくくったか、あるいはからポンはないだろうと読み、は暗刻だと確信していたのかもしれない。
最終盤、今度は滝沢がツモで選択を迫られる。
「ツモ切り」か「加カン」。
を切っての待ちは自身が全てポンしており、を石橋が切っていることから純カラである。
カンをすると相手より先にツモれる上、ツモれば嶺上開花で倍満となるが、カンをすれば現状自らにあるハイテイ手番もなくなるためツモ回数そのものは変わらず、打点も一緒。
カンしてドラが乗ってさらに高くなる可能性もなくはないが、相手にドラを乗せることもありえる。
メリットとデメリット、どちらを考えても五分五分の選択に思えた。
滝沢曰く「最後は勘」で、をツモ切った。
萩原もテンパイで粘りきるが・・・
ハイテイにいたのは両者が争った。
ハイテイチンイツトイトイの倍満、4000-8000の大きなアガリとなった。
もし滝沢がをカンしていたならば、アガリ牌は王牌に眠ることとなっていた。
このような「たられば」も、麻雀の醍醐味の一つだ。
なお、このアガリはが刻子(3枚)になっている。
連続する4枚の数牌を全て刻子にしたアガリは「四連刻(スーレンコー)」と言って、一部では役満とされている形だ。
残念ながらMリーグでは採用されていないのだが、10/26にこのアガリが出たことには、何かしらの縁を感じずにはいられない。
南3局。
2巡目にして石橋はこの好形を手にするが、非常に悩ましい。
切りでピンズやマンズの伸びを見る、ドラ切りでタンヤオや三色を狙うなど、いろいろなビジョンが見える。
石橋は切りを選択。
ドラを使う、さらには重ねて打点アップを狙おうという判断だろうか。
4巡目にはカン待ちのテンパイが入るが、さすがに待ちも打点も非常に不満ということで、切りでテンパイ取らず。
しかし次巡、まさかの引き。
リーチをしていたら一発ツモだったが、石橋はこの形も想定していたのだろう、迷わず待ちでリーチをかけた。
寿人が鳴きで食い下がるも、石橋は高目のドラをツモ、2000-4000のアガリで滝沢を追う。
ここまで流局なし、8局目でオーラスというスピーディーな展開。
滝沢はアガれば勝利、親の石橋はとにかくアガって点数を稼ぐ、寿人と萩原はラス回避が主なミッションとなるだろう。
石橋はそこそこまとまった形、滝沢も5巡目でリャンメン3つのリャンシャンテンと、ツモ次第でどうにかなりそうだ。
そこへ寿人がリーチ!
とのシャンポン待ち、変化やそのままの出アガリも考えられるが、ツモればリーチツモ三暗刻、をツモって一発か裏ドラが絡めばハネ満で石橋をかわして2着浮上となる。
これを迷わずリーチと行けるのが佐々木寿人という打ち手の怖さだ。
しかし、親の石橋は引き下がらない。
寿人の満貫ツモまでなら2着で踏みとどまれること、自らの手牌にドラが2枚あって相対的に寿人の高打点の可能性が低くなっていることから、宣言牌から仕掛けて一発を消しつつ前に出る。